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霞ケ浦導水訴訟 差し止め請求棄却 水戸地裁判決 「公共・公益性ある」

「不当判決」「行政に追従」と掲げる弁護団=17日午後1時15分ごろ、水戸市大町の水戸地裁前、村田知宏撮影
「不当判決」「行政に追従」と掲げる弁護団=17日午後1時15分ごろ、水戸市大町の水戸地裁前、村田知宏撮影


霞ケ浦導水事業で那珂川と涸沼周辺の生態系が破壊され漁業権が侵害されるとして、茨城、栃木両県の流域8漁協が国に那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日、水戸地裁で開かれ、日下部克通裁判長は「被害の未然防止措置が一応講じられている。事業の公共性や公益上の必要性がある」などとして訴えを棄却した。原告側は控訴する方針。

日下部裁判長は判決理由で「工事の施工、事業の運用開始が、受忍すべき限度を超える違法なものとはいえない」などと述べた。

一方で、事業の運用次第では漁業権侵害の可能性があるとし、「原告の意見を真摯(しんし)に受け止め、影響が最小限に抑制されるよう不断の努力をすることが切に望まれる」などと求めた。

原告が漁業権を侵害すると主張した那珂川のアユについては、取水口に仔魚(しぎょ)の流入防止策を講じることを前提に、「資源量が減少する具体的危険があるとまでは認められない」と判断した。

霞ケ浦の外来生物カワヒバリガイが那珂川に流入する可能性を認めながら、涸沼のヤマトシジミの餌や生息場所と「競合しない」とし、シジミについても同じく訴えを退けた。

また、公共性や公益上の事業の必要性については、霞ケ浦や千波湖(水戸市)の水質改善の期待▽那珂川、利根川の渇水対策効果と既得用水の確保上▽首都圏や本県の水利権の確保-で、それぞれ「必要がある」とした。

訴状によると、国はアユの仔魚吸い込み防止対策効果試験として、取水口工事を「実物大実験施設」の名目で漁協の同意を得ないまま2007年に公告。原告側は、取水によりアユやサケの稚魚が吸い込まれたり、流量の減少による魚の回帰率低下や涸沼の塩分濃度上昇でシジミに悪影響を及ぼしたりするなど、生態系を壊すと主張していた。賠償金は求めていなかった。

原告団は「不当判決に満身の怒りを込めて抗議する。行政追従の判決である」などとするコメントを出した。

国土交通省関東地方整備局の越智繁雄局長は「基本的には国の主張が認められたものと理解している。今後も漁業関係者の方々へ引き続き丁寧に説明をし、霞ケ浦導水事業の進捗(しんちょく)に努め、事業効果の早期発現を目指したい」とコメントした。 (黒崎哲夫)

■判決骨子
▽原告らの請求を棄却する
▽工事の施工、事業運用開始が受忍限度を超える違法なものといえない
▽那珂川のアユ、涸沼のシジミに資源量減少の具体的危険があるとまでは認められない
▽霞ケ浦や千波湖の水質改善が期待できる
▽那珂川と利根川の渇水対策に効果
▽首都圏や本県の水利権を確保するために必要
▽運用次第では漁業権侵害の可能性がある

★霞ケ浦導水事業
霞ケ浦や桜川(水戸市)の水質浄化、那珂川と利根川の渇水対策などを狙いに、霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネル(計約46キロ)で結んで水を行き来させる事業。国は1984年に着工した。総事業費は約1900億円(県負担金は約851億円)で、2014年度末までに1497億円(同約663億円)を執行。トンネルの利根導水路(約2.6キロ)は完成したが、那珂導水路(約43キロ)は3割超の完成にとどまる。民主党への政権交代で一時凍結されたが、14年8月に国は工事再開を決めた。本年度予算は設計費などにとどまっており、実際の工事再開は来年度以降となる。



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