知事に大井川氏 刷新訴え初当選、橋本氏の7選阻む
任期満了に伴う知事選は27日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で元会社役員の大井川和彦氏(53)=自民、公明推薦=が、ともに無所属で現職の橋本昌氏(71)と、新人で音大非常勤講師の鶴田真子美氏(52)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。7期目を目指す橋本氏の多選を批判し、自民、公明両党の国政選挙並みの支援を受けて選挙戦を繰り広げた大井川氏への支持が2候補を上回った。投票率は43・48%で、前回(31・74%)を11・74ポイント上回った。
知事選で新人候補が現職を破るのは58年ぶり。大井川氏は、自民党県連の推薦を受けて3月に立候補を正式表明し、7月中旬には公明党の推薦を受けた。公約に「新しい茨城」を掲げ、人口減少社会に対応する新たな産業の集積づくりのほか、多選禁止条例の制定、18歳までの一部医療費の無料化、つくばエクスプレス(TX)の県内区間の延伸検討などを主張した。
経産官僚とIT企業で役員を務めた経験を強調し、民間の経営感覚を生かした県政を進めるとし、「このまま漫然と24年の繰り返しを続けるのは許せない」と、県政の刷新を訴えた。
大井川氏は自公連立の枠組みで、自民県議などの支援を受けながら選挙戦を進めた。期間中、自民の岸田文雄政調会長、野田聖子総務相、小泉進次郎筆頭副幹事長、石破茂元防衛相のほか、公明の山口那津男代表と石井啓一国交相など、両党の幹部や閣僚級が次々に応援に駆け付け、政権与党挙げての総力戦を繰り広げた。
一方で、橋本氏が日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村)の再稼働問題に関して「(無条件で)容認しない」と告示日の10日に表明して争点化を促したのに対し、大井川氏は一貫して「県民の意見を十分に反映する形で慎重に判断する」と訴え、幅広い層の取り込みを図った。
橋本氏は8割近くの市町村長をはじめ、市町村議員有志、県建設業協会、県農政連、連合茨城、県医師連盟などの支援を背景に、6期24年の実績を強調して選挙戦を進めた。
後半は連日、大物弁士と一緒に街頭活動を進める大井川氏陣営に対し「県政への介入だ」などと批判。「県民党」を掲げて国対地方の対決構図を打ち出し「茨城のことは茨城が決める」と訴えて支持を求めたが、及ばなかった。
鶴田氏は東海第2原発の再稼働反対と廃炉、20年の運転延長阻止を掲げ、県民本位の県政を訴えたが、届かなかった。
【大井川和彦(おおいがわ・かずひこ)氏の略歴】
当選1回。元ドワンゴ取締役、マイクロソフト執行役、経済産業省商務流通政策グループ政策調整官補佐。東大卒。日立市本宮町
■知事選開票結果 (選管最終)
.当497,361 大井川和彦 53 無新
. 427,743 橋本昌 71 無現
. 122,013 鶴田真子美 52 無新