「雪村顕彰会」が発足 常陸大宮で記念シンポ 人物像掘り起こしへ

常陸大宮市出身の戦国時代の画僧、雪村(せっそん)周継(しゅうけい)の業績を明らかにし、作品の価値を守り伝えようと「雪村顕彰会」(冨山章一会長)が2日、設立された。第1弾の事業として、同会発足を記念したシンポジウムが常陸大宮市中富町の市文化センターで開かれ、約300人が参加。地域財産として雪村の人物掘り起こしを進めていく方針を確認していた。今後、機関誌の発行や視察会を実施、県外の伝承地との連携を強めていく。
この日の講演会では、昨年、雪村展を開催した東京芸術大学大学美術館の古田亮准教授(53)が「雪村作品の価値と魅力」と題して基調講演した。
古田准教授は、雪村については人物像が詳しく伝わっていないのにもかかわらず、残っている作品数が約300点と推測できるとした上で、「作品を頼りに雪村の人物像を深く理解し、多くの人に興味を持ってもらうことが出発点」だと訴えた。
また、水墨画家としての歩みや評価の変遷、作品から雪村の画風を解説。型破りで大胆といった奇想ぶりが注目されるが「細部を繊細に描く。神経の細やかさを感じさせ、画家として評価すべき点」と指摘したほか、仙人や山水画だけでなく、虫や小さな生き物を題材にし「自然に対する優しさが表れている」と魅力を話した。
続いて行われたパネルディスカッションでは、雪村像の解明や史跡の保存活動に長らく携わってきた4人が登壇。地元でも「ゆきむらって誰?」と言われるようになってきたというエピソードを数人が話した。
雪村が晩年を過ごした福島県・三春町歴史民俗資料館の藤井典子学芸員(52)は「地域の歴史に関心を持ってもらえるよう資料を見つけていきたい」と話した。
(大貫璃未)