【茨城県神栖市の課題 市長選を前に】 (上) にぎわい創出 市民の知恵、協力必要
■息栖神社・神之池を整備
任期満了に伴う茨城県神栖市長選は31日告示、11月7日に投開票される。選挙戦を前に同市の課題を探った。
44市町村中31位。茨城県民を一喜一憂させている? あのブランド総合研究所の「魅力度ランキング2020」による、神栖市の県内自治体順位だ。
それでも市からすれば、地方創生の名の下に、移住者を増やすための足掛かり=「交流人口増加」で重要な役割を担う、にぎわいの拠点を創出していきたいところだろう。
そこで市は、地域財産を「さらに磨き上げる」ことで、魅力度向上につなげる方針を打ち出した。そのターゲットとなったのが、鹿島神宮や香取神宮と並ぶ東国三社の一つ「息栖神社」と、まち中心部の一角に広がる市民のオアシス「神之池(ごうのいけ)緑地」だ。
今春、市は「まちのにぎわいづくりプラン」を策定。今月中旬、息栖神社周辺と神之池緑地の整備基本計画案について、中間報告を発表した。
息栖神社は「来訪者にいかに長く滞在してもらうか」が課題とされている。その解消を含め、ハード面で二つの整備を行う。
一つが駐車場の整備。神社の駐車場に入り切らない車対策として、神社隣の市有地に乗用車50台、大型観光バス4台が止められる駐車場を設置。もう一つは拠点(休憩)施設の整備。神社入り口近くに残っていた旧旅館を取り壊し、和テイストの観光案内所やイベント広場を設ける。
神之池緑地は、初めて訪れた人が「まちの中心部近くにこんな広大な公園が!」と驚く規模だといわれる。その中心にあるのが周囲約4キロの神之池。
このような形態は水戸市の、千波湖を囲む千波公園に似ているといえるかもしれない。同公園には、訪れた人たちが食事や喫茶を楽しめる空間「好文cafe」がある。
同計画案でもやはり、目玉の一つとして、カフェ設置がうたわれている。整備エリアに「あったらいいもの・欲しいもの」で一番要望が多かったといい、早々に出店者募集を行うことが決まっている。
このように神栖市でも、既存の地域財産に磨きを掛け、交流人口増加から定住につなげようと動きが活発化している。ただ、忘れてはならないのは「施設を造れば人は来る」とは簡単にいかないことだ。
施設をどう活用して、人に来てもらうようにするか。そこには、利用する市民の知恵と協力が必要。例えば息栖神社境内では、地元有志らが月に1度「わくわく市」を開催。農産物直売や手芸品販売、ミニコンサートなどで、来訪客をもてなしている。
整備が終わった。まさに、その時がにぎわいづくりのスタート-その自覚と覚悟が、次のトップには求められている。