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【茨城県那珂市の課題 市長選を前に】 (上) 《連載:茨城県那珂市の課題 市長選を前に》(上) 道の駅整備

道の駅建設候補地の飯田押敷交差点隣接地=那珂市飯田
道の駅建設候補地の飯田押敷交差点隣接地=那珂市飯田


任期満了に伴う茨城県那珂市長選は29日告示、2月5日投開票で行われる。市長選を前に同市の課題を探った。

■集客できる魅力必須 競合店近く 効果未知数

「県北地域の玄関口」を自認する那珂市は、常磐自動車道那珂インターチェンジ(IC)周辺開発として複合型交流拠点施設「道の駅」整備を進める。地元農産物の販路拡大を目的とした農産物直売所をはじめ、市民交流、防災拠点などの機能を備える予定だ。2028年度の併用開始を目指して、基本計画を策定中。「玄関」にふさわしい、集客力のある魅力を生み出し、発信できるかが鍵となる。

▽最大10ヘクタール確保

道の駅の建設候補地は、同市飯田の「飯田押敷交差点」隣接地に決まった。那珂ICから約500メートルにあり、前面の道路は市道と県道に接する。

市は、有識者や市内事業者、市民など約20人で構成する「市複合型交流拠点施設道の駅整備検討委員会」(委員長・川島佑介茨城大准教授)を設置。委員会は、本年度に4回の議論を重ね、道の駅の基本理念やコンセプト、立地候補地などを示した基本構想を策定した。

地域住民の利用も見込めることや、建築物を建てやすい土地を確保できることが候補地選定の決め手となった。市商工観光課によると、市街化調整区域で、敷地面積は最大で10ヘクタールを試算。施設規模や整備内容によって、今後、必要な面積を算出する予定という。

▽「光る商品開発を」

「道の駅ができれば市民や遠方のお客さんが交流できる拠点になる」

同市後台で県銘柄牛「常陸牛」を肥育する「みねしまふぁーむ」は、市唯一の常陸牛飼育農家。峯島勝則社長(50)は道の駅整備に期待を込める。市ふるさと納税の返礼品として、提供している常陸牛は、8カ月の子牛を買い付けに年に3回ほど、長崎県壱岐市に向かい、牛の餌のわらを自家栽培するこだわりようだ。

「消費者と牛にとって安心安全のために労力と手間をかける」と話す峯島さんは、道の駅整備検討委員会のメンバー。「那珂市には特産品がないのが課題だが、それはむしろ伸びしろでもある」と捉え、「各農家がプラスになるような光る商品開発が必要」と提案する。

同市には4店舗の農産物直売所が点在。道の駅は直売所と競合しない施設経営も求められる。

農業体験や市特産品を使ったレストランなどさまざまな機能を詰め込んだ道の駅が「必須条件」と峯島さんは力を込めた。「いかに消費者を市に呼び込むか。農家さんの生産物をPRできる場所になれば」

▽ブランド構築急務

建設に対しては「他市の後追いでは」という指摘もある。市内の自営業男性(63)は「道の駅という施設は本当に必要なのか。落語や演劇が観賞できる市民ホールなどが必要なのでは」と文化面での振興の必要性を感じている。

市から10キロ圏内に「道の駅ひたちおおた」(常陸太田市)や、20キロ圏内には「道の駅日立おさかなセンター」(日立市)など、特徴ある強力な〝ライバル〟が近接している。

那珂市の道の駅整備が十分な経済効果を見込めるのかは現時点で未知数。林立するライバルに肩を並べる地域ブランドの構築が急務となる。



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