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【茨城・石岡市の課題 市長選を前に】 (上) 《連載:茨城・石岡市の課題 市長選を前に》(上) 人口減少

週末の午後、人影まばらなJR石岡駅西口の御幸通り商店街
週末の午後、人影まばらなJR石岡駅西口の御幸通り商店街


14日告示、21日投開票で行われる茨城県石岡市長選を前に、市の課題を探った。

■施策、差別化どう図る 年度内にも7万人割れか

石岡市の4小学校が3月末で一気に閉校となった。それぞれの学校で児童、教職員、卒業生、保護者、地域住民らが参加する記念式典が開かれたが、終焉(しゅうえん)を迎えた学びやの思いをかみしめる参加者の寂しげな姿は、深刻な少子化を象徴しているようだった。

美しい自然景観や歴史的遺産、豊かな農産物で知られる同市は、人口減少問題に直面している。八郷町と旧石岡市が合併した2005年10月の人口は8万3546人だったが、24年3月は7万811人。1万2735人減少している。年平均で約700人減っており、コロナ禍以降の直近4年間は平均約900人減に加速。本年度中にも7万人を切る可能性がある。

■50年に4万9199人

国立社会保障・人口問題研究所が昨年発表した将来人口の統計では、50年の同市の予想人口が5万人を切る4万9199人とされた。現在の人口ピラミッドは高齢者が多く、若い世代に向かってしぼむ典型的な「つぼ型」。減少ペースがこのままなら5万人を切る日は現実のものとなる。

全国の多くの自治体と同じように人口減少は少子化、出生率の低下、高齢者の増加による死亡数の増加、若者の都市部への流出などが要因。税収の減少に直結するため、必然的に行政サービスの制限が余儀なくされ、地域の経済、教育、医療などにも多大な影響を及ぼすことになる。市民、企業など地域社会全体が協力して取り組むべき難題ではあるが、かじ取り役の市政の役割は極めて重要となる。

■待てない起爆剤

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸候補として手を挙げていたが、県は昨年6月、延伸先を「土浦方面」に決定し、実現後に「茨城空港方面」を目指す方針が示された。「起爆剤になったのに」と市幹部。地理的に石岡市は延伸先となる同県土浦市、茨城空港がある同県小美玉市に挟まれており、TX石岡延伸推進協議会も解散せずに啓発活動などは続けていく。だが、遠い未来の起爆剤を待っている余裕はない。

市は総合計画に出生率向上と移住推進を2本柱とする人口減少対策プロジェクトを掲げている。結婚・新婚世帯支援では結婚マッチングサービスの登録料や使用料の補助や子育てに役立つ冊子の発行、妊娠期・出産支援ではこども家庭センターの設置や子育て支援アプリの導入、小中学生への支援では学校給食無償化といった新規事業を本年度スタートする。

本年度新設された人口創出課の担当者は「どこまで他の自治体との差別化を図れるか。これまでのいろいろな施策でも人口減少は止まらなかった。右肩上がりとはいかなくても減少ペースを緩やかにしなければ」と話す。市の魅力向上、活性化につながる持続可能な地域社会実現に向けた取り組みが求められる。



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