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《連載:検証 2024衆院選》(下) 無所属2氏 変動の芽 1、7区で自民候補破る

支持者と握手を交わす中村勇太氏(右)と当選を確実にし、あいさつする福島伸享氏
支持者と握手を交わす中村勇太氏(右)と当選を確実にし、あいさつする福島伸享氏


「相手はオール自民の完璧な布陣。無所属がなぜ勝てたか。全て皆さまの協力があってこそだ」

茨城県内小選挙区でただ一つ、一騎打ちとなった茨城7区は、野党系無所属の新人、中村勇太氏が制した。祝勝会では、父の中村喜四郎前衆院議員から引き継いだ後援組織の会員らと喜びを分かち合った。

直前に政界を引退した喜四郎氏は当選15回を誇る。2005年衆院選以降、無所属から一転、立憲民主に入党すると、保守色の強い後援会「喜友会」との関係にほころびも見られた。前回21年の衆院選で、初めて小選挙区で敗れた。

喜四郎氏は3年間、選挙区内を奔走。喜友会の結束を固め直し、支持の掘り起こしを図った。

公示前には立民県連と連合茨城から実質的な支援を取り付けた。共産は県内で唯一、7区への候補者擁立は見送った。「全て喜四郎氏がお膳立てした」。後援幹部の一人は明かす。

選挙戦で勇太氏は父と同様、オートバイで地域をくまなく回った。街頭演説は計160回。政治とカネの問題を徹底的に批判し、選挙制度改革が必要だと訴え、初当選を果たした。

「無敗の男」と呼ばれた父と同様、当選を重ねられるのか。支持者は「経済や国防の政策に考えを示していない」と指摘。いずれかの政党に入った場合、所属先によっては再び後援会が揺らぎかねない。世襲批判も付きまとう。

「(当選という)結果に見合う人間に成長して皆さんに恩返しする。国家国民のために最後まで頑張る」。勇太氏は決意を述べた。


衆院制度が現行制度となった1996年以降、県内小選挙区で無所属候補が2人当選するのは初めて。

自民は改選前の5議席から3議席に減らし、野党系が4議席を確保した。このうち無所属が2議席。無所属候補の拡大は、強固な「自民王国」に風穴を開ける大きな変動の芽となる。

前新4人の戦いとなった茨城1区。自民前職に約1万7000票の差をつけ、当選した無所属前職の福島伸享氏は「与野党伯仲で無所属の1議席が大きく生きる。これからの日本の政治を動かす鍵になる」と強調した。

選挙戦では毎日十数カ所を回り、草の根の活動を繰り広げた。無所属ならではの「しがらみのなさ」や比例復活なしの「背水の陣」を強くアピール。主要政党支持層から無党派層まで、幅広い支持を得た。

同県筑西市内で開いた決起大会には喜四郎氏が駆け付け、マイクを握った。異様な熱気に包まれる中、「(福島氏は)選挙制度を改革するため立ち上がった。茨城では無所属候補が2人戦っている。2人が当選すれば、政治が変わる」と力強く訴えた。

その2日後、「変化」が起きた。勇太氏とともに当選を果たした福島氏は「政治刷新に向けて行動していく」と語った。



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