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《連載:自律 茨城・水戸市中核都市5年》(中) 動物愛護 啓発進む 教員研修、独自に展開

保護犬の世話をする水戸市動物愛護センターの職員=同市河和田町
保護犬の世話をする水戸市動物愛護センターの職員=同市河和田町


中核市移行と同時に開所した水戸市動物愛護センター(同市河和田町)。「命の大切さ」を伝える啓発やペットの飼い主らに対する適正飼育の推進、保護・収容した犬猫の譲渡などが主な役割だ。

センター内の施設を開放する見学・勉強会は昨年度に100人を超えたほか、学校への出前授業や街頭PRにも注力。犬猫の適正飼育講習やしつけ教室も年間で数十回を数える。苦情・相談件数は年間2000~3000件にも及ぶほか、不妊去勢手術の支援などにも取り組み、受け持つ業務は多岐にわたる。

動物愛護の地道な啓発活動が功を奏し、センターが保護・収容した犬は2021年度の109頭から24年度59頭に減った。猫は22年度111頭をピークに24年度は46頭まで減少。関係機関や団体との連携が深まり、犬猫の返還・譲渡率は高水準で推移する。

また開所から24年度まで、譲渡適性があると判断した犬猫の殺処分はゼロ。センターの地域への浸透度が高まる中、松田智行所長は「開設から5年。きめ細かな対応がようやく実を結んできた」と成果を語る。

「水戸市の教育を支える教員に成長してほしい」。24日に始まった25年度の水戸市教員研修の開講式で、志田晴美教育長は若手教員らに呼びかけた。

中核市移行の特例で、県所管だった教員研修が市単独で行えるようになった。市で実践する教育の特色に合ったプログラムを展開できるのが特徴だ。

特に、指導担当者が小まめに現場を訪れ、個別面談を行うなど、「教員の悩みや疑問に即座に応えることができる距離感が魅力」(市総合教育研究所)。現場の状況に応じて指導内容を柔軟に変更できることが最大の利点で、同研究所は「課題があればすぐにてこ入れし現場に還元する流れが構築できた」と話す。

中核市には教員の人事権こそないが、「細部にまで目が届く研修体制の構築と市の理念に合致した人材育成」(同研究所)に向け、さらなるブラッシュアップを重ねる考えだ。

中核市移行で県から移譲された事務権限は計2600項目。事務の一元化や効率化に伴い、迅速なサービス提供が可能になった。中でも、市独自の保健所は、新型コロナウイルス対策で、県を介さず、国から直接情報を得ることができ、「大きな強み」(市保健所)となった。

また権限移譲を受け、生活環境と福祉部門で二つの課を新設。廃棄物対策課は「市民ニーズを踏まえた細かな指導」、福祉指導課は「実情に応じた迅速対応」など、現場の意見を吸い上げた独自施策の展開につながったという。職員も100人近く増員するなど「組織と人員の強化も図られた」(市行政経営課)。

中核市移行から5年。成果について同課は「おおむね良好」と総括。引き続き「特色ある施策を展開し、さらなる市民サービスの向上に努めたい」とする。



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