【決戦茨城 ’25参院選】 (上) 《連載:決戦茨城 ’25参院選》(上) 自民・公明

■逆風深刻「剣が峰」 議席堅持へ50万票目標
参院選は7月3日公示、同20日に投開票される。改選2議席を争う茨城選挙区を巡る各陣営の動きを追う。
「まさに剣が峰に立たされている。信頼を取り戻すべく、自民党再生のため尽力している最中にある」
真夏の決戦を3カ月後に控えた4月半ば、自民党茨城県連の海野透会長は女性局大会で状況を説明した。茨城選挙区(改選数2)で3選を目指す上月良祐氏(62)の2期12年の仕事ぶりを評価しつつも、「それほど厳しい選挙」と表情を緩めなかった。
自民党派閥の裏金事件に端を発した「政治とカネ」を巡る不信感は根強く、自民にとって激しい逆風が吹く。茨城県議員に対象者はいなかったものの、県連所属の議員らは「影響が大きい」と、口をそろえる。
昨年秋の衆院選では、県内7選挙区のうち3選挙区での勝利にとどまった。参院選の前哨戦に当たる22日投開票の東京都議選でも、自民は第1党から転落した。「政治不信はまだ払拭できていない。かなり踏ん張らないと」。海野会長は危機感を強める。
■嵐の中で
2019年の参院選で、上月氏は約50万7000票を獲得しトップで再選。2位の候補に2倍以上の差をつけた。当時、県連が掲げた目標は60万票。今回は逆風にある現状を踏まえ「50万票以上」とし、議席の確実な維持を目指す。
茨城選挙区の議席は、長く旧民主系と分け合ってきた、いわば「指定席」。県連内でも「選挙区は大丈夫だろう」と見る向きは強い。一方、比例への影響は見通せず「深刻だ」(県連幹部)。
少数与党の状況下、参院でも過半数を割れば政権交代が現実味を帯びる。このため、県連は比例候補者にそれぞれ県議40人を割り当て、支援を受ける職域団体とともに票の掘り起こしを進めている。
こうした環境下、上月氏は県内の地域支部を細かく巡り、約1600の企業・団体から推薦を取り付けるなど、足場固めと引き締めを図る。5月半ばの事務所開きでは、集まった支援者ら60人を前に厳しい戦いへの勝利を誓った。
「嵐の中で、滑りやすい岩を登っていくような状況にある。厳しいからこそ、頑張りたい」
■強い連携
自民と連立を組む公明党は、今回の参院選を事実上の政権選択選挙と位置付ける。長く続く逆風に、党本部の高崎進代表代行は「状況はこれまでと異なる。議席を落とすわけにはいかない」と、危機感をあらわにする。
党県本部は今月下旬、自民党県連や、支持母体である創価学会と幹部会合を開催。3月に推薦を決定した上月氏を支援する一方、比例票の獲得で自民の支援を受ける「バーター協力」の体制を確認した。
比例では、県内で「18万票」の得票を目標に設定。支持層の引き締めを図るとともに、自民側にも「3万票」の協力を要請した。「連携をさらに強固にし、参院選を勝ち抜く」。高崎代表代行は強い決意を示した。