【暮らしと’26県予算】 (1) 《連載:暮らしと’26茨城県予算》(1) 工業団地造成を加速 企業誘致、立地アピール
茨城県の2026年度当初予算案が発表された。共生社会や雇用創出、観光誘客など、茨城県が直面する課題に対応する。
「間もなく新工場が竣工(しゅんこう)する。地元の人たちと共存共栄で成長していきたい」
ひたちなか市新光町の常陸那珂工業団地で用地取得を進めてきた非鉄金属大手のJX金属(東京)。ひたちなか事務所の久保木陽央所長は、事業拡大に向けた新たな中核拠点に期待を膨らませる。
新工場は、需要拡大が見込まれる半導体用スパッタリングターゲットの生産増強を担い、3月に稼働する予定だ。敷地内の「ひたちなかリサイクル物流センター」は昨年9月から既に稼働。銅や貴金属、レアメタル(希少金属)を回収するため、国内外からリサイクル原料を受け入れている。
同社は昨年5月、隣接する用地も取得。県内各拠点の管理間接部門を統合し、本社機能の一部を移す。
林陽一社長は「次世代の半導体材料など、いろいろな製品で設備能力の増強が必要になっている。良いタイミングで良い土地を譲っていただいた」と話す。
県は、地域経済の発展や魅力的な雇用の創出に向け、成長分野など、給与水準や利益率が高い「高付加価値な産業」の誘致を図る。首都圏から近い上に交通アクセスも充実する立地の優位性のほか、県独自の優遇制度をアピール。用地価格が神奈川県の約6分の1、埼玉県の約3分の1と安価な点も強調する。茨城県内には筑波大や茨城大、茨城高専があり、4月に県立情報テクノロジー大学校も開校する予定で、人材を輩出する情報・工学系の教育機関が充実することもセールスポイントとしている。
今月10日には、茨城県の優れた立地環境をPRするセミナーを大阪府大阪市で開催。関西の75社から122人が集まった。関東で新規事業を予定する企業などから関心が寄せられた。
これまでの企業誘致の成果は著しい。経産省の工場立地動向調査によると、県外企業立地件数は2015年からの10年間で375件と全国最多だった。工場立地面積も1231ヘクタールで全国1位、立地件数は633件で2位だった。
茨城県への需要は今後も続くとみられ、県の地域別予測では、県北と県央が工業団地や港湾の整備が進み、事業環境が向上するとみる。県南と県西は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内全区間4車線化を追い風に、立地が加速すると見込んでいる。
こうした状況を背景に、県は26年度、新たな工業団地造成に着手する。阿見町実穀地区で約68ヘクタールを計画。立地整備課の担当者は「産業集積に加え、雇用の核となるグローバル企業の投資を機を逃さず取り込む」と見据え、早期整備を図っていく。同地区は需要が高い圏央道沿線の中でも牛久阿見インターチェンジ(IC)やJRひたち野うしく駅に近く、大規模な画地が可能な点が魅力という。
このほか県は企業誘致のPRや、次期開発地区を選定するための調査も引き続き進める。











