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《2020年夏季茨城県高校野球大会》3回戦 太田一あと一歩 病気乗り越え復帰の谷田部「悔いなし」

太田一-鹿島学園 5回裏太田一1死一、二塁から谷田部が左越えに本塁打を放ち、ガッツポーズしながらベンチに戻る=ひたちなか市民
太田一-鹿島学園 5回裏太田一1死一、二塁から谷田部が左越えに本塁打を放ち、ガッツポーズしながらベンチに戻る=ひたちなか市民


九回裏、太田一ベンチから「谷田部まで回せ」という声が響いた。3番打者の谷田部達也(3年)は仲間を信じて自分の打席を待ったが、ネクスト席で最後を迎えた。試合後、谷田部は「3年間に悔いはない」とすがすがしい表情で語った。

違和感が出始めたのは1年生の3月頃。激しい運動をした後にせき込むことが増えた。「風邪かな」と思っていた。

2年の夏は4番・捕手として試合に出場。大会後、大事を取って地元の病院を受診し、そこで「腫瘍がある」と告げられた。精密検査を受け、悪性リンパ腫と判明した。秋季大会に向けて新チームが始動した頃だった。

それからは入退院を繰り返し、治療に専念した。秋季大会は欠場。主砲を欠いたチームは2回戦でコールド負けを喫した。結果を聞いて「自分が出ていたら、どうなっていたんだろう」と考えたら悔しかった。

それでも、チームメートに支えられた。保健室に登校するようになると、顔を出しに来てくれた。「元気そうでよかった」「頑張れよ」という一つ一つの言葉が励みになった。

2月に完治を告げられ、3月から部に復帰。「やっとチームのみんなと野球ができる」。うれしかった。

部活を休んでいた半年間、チームは「谷田部のために」と一致団結した。中でもエースの小泉尚也(同)は「谷田部に見合った投手になる」と誰よりも努力を重ねてきたという。それを受けて谷田部は「今度は自分が小泉に見合った捕手になる」と思い、夏舞台での活躍を思い描き必死に努力した。

この日、本塁打を含む5打点の活躍を見せたが、試合はあと一歩及ばなかった。それでも「チームのみんなが自分を強くしてくれた。最後はみんなと一緒に野球ができて楽しかった」。仲間と共に駆け抜けた3年間を誇った。



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