夏季茨城県高校野球大会開幕 球児、静かにはつらつと
「両校あいさつ」。11日午前8時28分、夏季茨城県高校野球大会のメイン球場のノーブルホーム水戸の開幕ゲームとなった茨城-鉾田一。ベンチから飛び出した各校の先発メンバーだけの9人が間隔を空けて整列した。
登録メンバー枠が撤廃された独自大会は、出場選手の人数制限こそないものの、新型コロナウイルス感染防止対策のため、ベンチに入れるのは15人。整列メンバーも限られ、残る部員はベンチやスタンドから仲間を送り出した。
開会式は実施せず、開幕を飾る入場行進やスタンドを彩るブラスバンドの姿もない。入場口で検温やアルコール消毒を終えた保護者らは、お互いの距離を取りながらそっとスタンド席に座った。メガホンなど応援のための道具は持ち込みが禁止され、拍手で選手たちを後押しした。
選手や関係者の入場数を減らすため、グラウンド整備は当日会場で試合を行う学校の部員が行う。会場アナウンスも同様だ。マスク姿のマネジャーが試合進行を務めた。マスクを着用して試合に臨む球審の姿もあった。
試合終了後の整列を終えた選手たちは、スタンド席の保護者にあいさつし、すぐにベンチに戻った。“勝利の証し”でもある校歌斉唱は行われない。昨年、初戦で敗退し、今年は見事勝利を挙げた鉾田一の選手たちからは「今年こそは歌いたかった」との声も聞かれた。
試合と試合の間は約1時間空け、県高野連の役員らがベンチやスタンドの消毒を行った。この日の全日程を終えた役員らは「スムーズに進行できた」と胸をなで下ろした。
幕を開けた異例の大会。憧れの甲子園にはつながらないが、球児たちはそれぞれの思いを胸に白球を追う。