《筑西市長選解説》安定の行政手腕、信任
市民は、須藤市政の継続を支持した。2病院を統合した新中核病院の開院や道の駅の開設、誕生祝い金20万円制度の創設、医師会と協力したPCR検査センター設置など、須藤茂氏の市長2期8年の安定した行政実績を、市民が信任した形だ。選挙戦では地盤の下館地区を中心に票を固め、市民の広範な支持を得た。
昨年10月に市の常住人口が10万人割れした。しかし茨城県筑西市は首都圏へ通勤可能な距離にあり、可住地面積が広く、潜在的な可能性へ期待は大きい。子育て支援の充実も含め、ハード・ソフトの両面で人口減少対策への一層の挑戦が望まれる。
須藤氏が公約に掲げた市道「玉戸・一本松線」の整備は、下館地区の環状線を形成することで関城、明野、協和の各地区との相互のアクセス向上が期待される。長期的に市の求心力を高め得る施策でもある。
新人2候補は、市財政に対する強い懸念を主張したが、市民の広い理解を得るには至らなかった。当選した須藤氏も今後、財政の状況と展望を市民に分かりやすく伝えていく一層の努力が必要とされる。
森正雄氏の出馬は結果的に、関城地区の結束を示すものになった。勝者の須藤氏は、合併後の課題について改めて検討・改善を行い、旧4市町の住民の相互融和に努めなければいけない。
新型コロナウイルス予防の配慮が各候補に強く求められた異例の選挙戦でもあった。集会の分散化や、乗用車に乗ったまま参加できる集会、インターネットを使った広報の重視など、従来とは異なる各候補独自の取り組みが見られた。単なる感染症予防策を超えて、今後の選挙戦の方向性を示すものだったと言える。