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【託された判断 河内町長選を前に】 (下) 休止の町直販センター

休止状態が続く「かわち直販センター」。再編が問われている=河内町長竿
休止状態が続く「かわち直販センター」。再編が問われている=河内町長竿


大型トラックが行き交う国道408号。もうすぐ茨城県を出て千葉県という所に、ドライブイン然とした河内町所有の施設が立つ。長竿地区の「かわち直販センター」。1999年にオープンした。核となる農産物直売所は、スーパーの代わりも果たし、地域活性化に一役買っていた。2019年春に直売所が移転して以降、施設全体が休止状態に陥っている。センターを巡っては込み入った事情が絡む。過去に、とある訴訟が起きた。

訴訟記録などに基づくと、経緯はこうだ。センターはもともと、前町長が社長を務める町出資の第三セクターが業務委託(のち指定管理者制度に移行)を受けて運営していた。町長交代後の16年、町は直営方針を決定。両者は溝を深めていった。

三セク側は指定期間満了後も独自に直売所を営業し、町側は明け渡しを求めて司法による解決に踏み切った。18年2月の一審・水戸地裁龍ケ崎支部判決では、町側の主張が認められた。控訴審と上告審でも結論は変わらず、19年2月に一応の決着がついた。三セク側は、直売所を近くに移した。センターだけが取り残された。三セクに関し、町の持ち株比率は現在1%台。「ほぼ民間企業。町は口出しする立場にない」(町関係者)という状況だ。

町はセンターの将来像や役割明確化について昨年6月、学識経験者や町議らでつくる再編検討委員会に諮問。今年3月の答申では、直売所機能をそのまま利活用し、サイクリングの拠点性を持たせたり、管理運営のため公社を設立したりすることが提言された。検討委メンバーの一人は「答申を委員の総意と受け取ってほしい。町民も結論を待っている」と述べた。

答申は、センターの整備期間を本年度内とするよう求める。三セク側の直売所や近隣地域に出店した大型スーパーとどう違いを出すかが問われそうだ。

町幹部はこう語る。「予算措置を含め町長の政策的判断だ。職員ができるのは、どのような方針が示されてもいいよう、準備しておくことだけだ」

新町長は1期目から大きな決断を迫られる。

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