《解説》常陸太田市長選 3事業、問われる実行力
少子化人口減少対策や地域経済の活性化、観光事業のブラッシュアップなど茨城県常陸太田市が抱える長年の課題に取り組み、「次世代につなぐまちづくり」の担い手を、市民は無投票で宮田達夫氏に託した。
まず進行中のプロジェクトへの取り組みが注目される。
買い物環境の整備と働く場の確保を目指す東部土地区画整理事業▽通勤の利便性向上と緊急事態への対応などを目的にした(仮称)真弓トンネル▽子どもたちにプロスポーツの観戦機会を創出する新たな体育館の建設-の3事業はいずれも始動しているものの、まだまだ高いハードルが想定されており、完成に導く実行力が問われる。
宮田氏は市政運営に当たり、専門的な意見を持った人たちの審議会などを複数つくり、「旧来の事業の成立と違った目線で事業展開できれば」と衆知を集める姿勢を示す。同市が先進的に取り組んできた少子化人口減少対策は「新たな視点で進化させる」とし、「市の人口構成から高齢者の健康寿命の延伸に力を入れたい」と話すなど、新たなまちづくりを視野に入れる。
副市長としての7年間は「納税者への説明責任という点で全てを判断してきた」と明かすように、市民や職員に「相当厳しい対応」もしてきた。副市長は職員が起案したものを事業化できるようアドバイスするのが役割だったが、今後は「アドバイスする側から判断する立場」になる。
庁内外の求心力を高めることが各種事業のスムーズな成功への鍵になりそうだ。