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【茨城・阿見町の明日 町長選を前に】 (上) 誘客による活性化

酒かすなどを使った商品を持ち寄って会議に参加した事業者=阿見町役場
酒かすなどを使った商品を持ち寄って会議に参加した事業者=阿見町役場


■施設点在、周遊に課題
15日告示、20日投開票の茨城県阿見町長選を前に、町の課題を追った。

1月31日、阿見町役場で、町内産米の地酒から生まれた酒かすなどを使った商品開発の会議が開かれた。町内の飲食業者ら3人が、シフォンケーキやクラッカー、生チョコなど、酒かすを使ったお菓子を持ち寄って試食し、商品化に向けて意見を交わした。クラッカーを作った宇都木康予さん(69)は「お酒と一緒に楽しめるような特産品にしたい」と話した。

地域活性化に向け、町は、前年度から東京農業大(東京)と「霧筑波」の銘柄で知られる浦里酒造店(つくば市)と連携し、町内産の米を使った純米吟醸「桜翔」の開発に取り組む。本年度は、2月下旬をめどに桜翔を販売予定。さらに、町内の飲食店と連携し、酒かすを使用した新たな特産品の開発を進める。町商工観光課の担当者は「観光客などに、町内の飲食店などに立ち寄ってもらうきっかけにしたい」と期待する。

■新シンボルの活用
県がまとめた県内観光客動態調査(2020年)によると、町の入り込み客数は265万3千人で、県内では3番目に多い。町政策企画課の担当者によると、大半が商業施設「あみプレミアム・アウトレット」(同町よしわら)や予科練平和記念館(同町廻戸)などの来場者とみられる。

町は地酒などの特産品の開発や、つくば霞ケ浦りんりんロード関連のイベント開催をきっかけに、各施設から町内への観光客周遊を促す。しかし同課の担当者は「各施設が目的地で、立ち寄った前後に町内を周遊する来訪者はいまだに少ない現状」と指摘する。

5月には、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が師匠を務める相撲部屋、二所ノ関部屋(同町荒川本郷)が完成し、町のシンボルとなる施設が一つ増える。点在する各施設と連携し、町内への周遊と活性化につなげられるか課題が残る。

■中止の道の駅予定地
同町追原の町道の駅建設予定地だった土地の利活用も課題の一つだ。

道の駅は、観光客誘致の拠点施設として、10年に着想。18年2月の前回町長選で争点になり凍結され、有識者で構成する同事業検証委員会による検証を経て、昨年7月、町が事業の中止を決めた。

しかし、町は18年1月までに、建設地として計約1億9700万円で約2万4160平方メートルの土地をすでに取得済みだ。町は地域活性化に向け、民間への貸し付けなども視野に利活用する方針だが、具体策は決まっていない。

同検証委員会は「今後、大規模事業を行う際は計画段階から町民のニーズを把握し、丁寧に説明し、理解を得て進めていくことが求められてる」と答申書で指摘している。

町政策企画課の担当者は「住民の方の意見などを聞きながら活用方法を検討していきたい」と話した。



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