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【茨城・阿見町の明日 町長選を前に】 (下) 人口対策

地域住民の交流拠点として整備された「吉原交流センター」=阿見町吉原
地域住民の交流拠点として整備された「吉原交流センター」=阿見町吉原


■市制視野、定住策探る

「2023年の人口見通しは5万人」

町政の指針となる「茨城県阿見町第6次総合計画」(14年策定)で掲げられた人数だ。国勢調査によると、町常住人口は、05年に4万7千人を超え、15年までほぼ横ばいで推移したが、20年に前回比約1000人増で4万8千人を超えた。

町政策企画課によると、JR荒川沖駅(土浦市)沿線の同町荒川本郷や、商業施設「あみ・プレミアムアウトレット」(同町よしわら)周辺で子育て世代の若年層が増え、町の人口増をけん引しているという。両地区は土地区画整理事業が進められた地域で、同課は「若年層の人口は今後も増えるだろう」と予測。「住み続けられる町づくりが求められている」と話す。

「人口5万人」は市制施行の要件の一つ。町から市への移行も視野に入る。同計画は23年が最終年になっており、町は来年度から新たな計画の策定に向けて準備を進める方針だ。同課の担当者は「次の10年を考える時期に来ている」と述べた。

■二極化

一方で、町内で子育て世帯が増え若年層が増加する地域と、少子高齢化の傾向が進む地域の二極化が見られる。

地域ごとの児童の増減に対応するため、町教委は15年に町立学校再編計画を策定。児童が増加する同町荒川本郷は、18年4月にあさひ小を新設して対応した。町学校教育課の担当者は「現在も児童は増加傾向にあり、教室数を増やすなどの対応を練る必要がある」と話す。

一方で、在校児童が100人を割る小規模校だった吉原小と実穀小が18年に閉校した。ただ、閉校の予定だった君原小は、地域住民から存続要望が提出され、20年4月から小規模特認校となった。また、23年閉校予定の阿見二小も、住民らの要望により、統合延期が決まった。

小学校は地域コミュニティーの核を担っており、少子化が進む地域の住民らの世代間交流の支援は課題だ。

■交流拠点

町は地域住民の交流拠点として、閉校した2校の校舎を活用し、コミュニティセンター整備を進める。旧吉原小は、昨年4月に、同小の歴史を振り返る写真などが展示された「吉原ミュージアム」などが備えられた交流センターとして開設した。

旧実穀小もコミュニティセンター整備計画が進むが、一部住民から「センターが本当に今必要な施設なのか考えてほしい」などの声が上がる。現在、検討委員会が設置され、町と住民らで具体的な内容について話し合いが進められている。

次の10年の町政には、地域住民の意見の集約と、事業の丁寧な説明が求められる。



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