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【茨城県下妻市の針路 市長選を前に】 (上) 人口減少の抑制

下妻市内の子育て支援センターを利用する親子。母親同士の交流、情報交換の場になっている=同市高道祖
下妻市内の子育て支援センターを利用する親子。母親同士の交流、情報交換の場になっている=同市高道祖


茨城県下妻市長選は20日告示、27日投開票で行われる。市長選を前に、市の課題や将来像を探った。

■雇用と定住 企業連携 選ばれる街 発信力を
下妻市高道祖の西原保育園内にある子育て支援センター。親子8人が集まり、にぎやかな声が響いた。親同士の話題はさまざまで、下妻の子育てやサポート環境について母親(28)の一人は「人口が違うから必然なのかもしれないが、お隣の筑西市の方が豊富な印象」と語り、別の母親(32)は「制度を知らないことがある。インスタグラムやツイッターでも分かるといい」と指摘するなど、発信力に物足りなさを感じている。

同センターは出張型を含め市内に3カ所あり、基本利用無料。市子育て支援課によると、コロナ禍でも2020年度の利用者数は計4441人に上り、貴重な交流の場を形成している。

少子高齢化が進む中、市の常住人口は4万1116人(2月1日現在)を記録する。ピークは市と千代川村が合併した06年代の4万6千人超で、年々右肩下がりの状況が続く。市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン(16年策定)では、06年以降死亡数が出生数を上回り自然減に入った。

市教委によると、小中学校の児童・生徒数は同年度は4237人だったが、本年度は3226人(以上5月1日現在)と激減。市立蚕飼小が13年度限りで閉校した。

人口減は税収に影を落とし、行政サービスの維持が困難となる。こうした事態を踏まえ、市外からの移住促進策として、空き家活用、市営住宅の入居資格緩和、県と連携した「わくわく茨城生活実現事業」などを打ち出す。人口減少幅を極力抑えようとの狙いだ。

特に市が期待するのが「しもつま鯨工業団地」の進出企業との連携。分譲用地に米化粧品大手エスティローダーカンパニーズの子会社や製パン大手フジパンなど3社が決定。市企画課によると、雇用は同カンパニーズの生産工場が約千人、フジパンが約300人を見込む。共に23年度中の稼働見通しで、従業員を市内定住へ「取り込みたい」(同課)と意気込む。古沢・袋畑地区も新たな工業団地の整備に動き出している。

地元の雇用情勢はどうか。筑西公共職業安定所下妻出張所によると、管内の下妻市・八千代町の有効求人倍率は1.07、正社員の同倍率は0.94(以上22年1月)。2人の子どもを育てる会社員男性(46)は「下妻は人が出ていく一方。(人気の)IT企業や女性が活躍できる仕事は少ない。危機感を感じる」。

子育て世代や移住希望者に下妻がどう映るか。地域間競争が激しい中、「選ばれる街」に向けて発信力強化やさらなる産業創出が求められる。



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