【茨城・つくばみらい市の未来】 (上) 《連載:茨城・つくばみらい市の未来》(上) コロナ禍の教育
茨城県つくばみらい市長選は17日告示、24日投開票される。市長選を前に市が抱える課題を探った。
■端末活用、ICT身近に 教員、保護者に戸惑いも
新型コロナウイルス感染拡大で、各地で長期化した休校措置。小中学校では1人1台のタブレット端末を活用したオンライン授業が当たり前の光景となった。一方で、学びの「地域格差」が出ているという声も聞かれる。「ウィズコロナ」の時代を見据えた学校での学びの在り方は大きく変わりつつある。
▽1人1台配備
休校期間中、市内小中学校全14校でリモート授業を行った、つくばみらい市。
市幹部の1人は周辺自治体と比較した上で、「オンライン学習はできたが、オンライン授業はできなかった」と振り返る。機器の装備や教員一人一人の「経験値」の積み重ねなど課題が見えてきたという。
国のGIGAスクール構想により、2021年に全国の小中学校で1人1台のタブレット端末の配備が広がった。
コロナ禍での休校や学級閉鎖時に学びを止めないためにも有効であり、市は昨年8月ごろから教職員研修などを行ってきた。
▽難しい学力保障
今やタブレットは鉛筆やノートと並んで、学びに欠かせない〝道具〟になっている。だが、たとえ端末があっても「オンライン授業は対面の代替にはならない」「対面授業のような学力保障は難しい」といった声もある。
子どもたちがICT教育を身近に感じる機会になる一方で、急速な変化に教員の間では戸惑いもあるのが現状だ。
市内の小学校に勤務する教員の1人は「子どもたちの方が使いこなすのは早い。(教員が)どう教えるか困惑している」と本音を漏らす。別の教員は「休日を使って(オンライン授業の)研さんを積むしかない」と話す。
▽高価なおもちゃ
ネットリテラシー教育の必要性も叫ばれている。
タブレット端末は休校などの緊急時を想定して家への持ち帰りを勧め、宿題や課題にも活用される。市では道徳や特別活動、技術家庭の時間を使って重点的に指導を行い、「いじめ」につながらないよう指導しているという。
ただ、家庭に入り込むタブレット端末の扱いに悩む保護者は少なくない。市内の30代の母親は利点は理解しつつも、「何でもできる高価なおもちゃが配られたようだった」と複雑な思いを語る。
新型コロナの流行で学級閉鎖や休校が相次ぐ中、オンライン授業は学びの機会を保障した。一方で、学校現場の働き方改革を意識しつつ、授業の質向上やネットリテラシー教育も不可欠になるなど新たな課題にも直面している。