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【未来は拓けるか 茨城県鹿嶋市長選を前に】 (上) 《連載:未来は拓けるか 茨城県鹿嶋市長選を前に》(上) 市街地活性化

祭頭囃でにぎわう鹿島神宮近くの「仲町通り」=鹿嶋市宮中
祭頭囃でにぎわう鹿島神宮近くの「仲町通り」=鹿嶋市宮中


茨城県鹿嶋市長選が10日告示、17日投開票で行われる。市長選を前に、市が抱える課題を追った。

■方針揺れ、資料館停滞 出店は相次ぎ、魅力向上
異例の4月実施となった祭頭囃(ばやし)。鹿島神宮近くの中心市街地は、樫(かし)棒を組み鳴らす囃人と観光客で久しぶりの活気に包まれた。

その一角にあるわらび餅専門店「甘味処鎌倉 鹿島神宮前店」は昨年秋にオープンしたばかり。「格式の高い鹿島神宮前に出店できて、運が良かった」。オーナーの井原崇さんは笑顔を見せる。

同店は、写真共有アプリ「インスタグラム」で、商品の土産用わらび餅、わらび餅ドリンクの魅力を発信。オープン後には「インスタ映え」する写真を撮影しようと、参道や大鳥居を背景にスマートフォンをかざす若者の姿が目立つようになった。

千葉県内で飲食業を営んできた井原さんは、かつて観光で同神宮を訪れたことがある。当時の印象は「(参道が)もったいない」と寂しさを感じたという。店舗運営を通して「まちがにぎやかになれば」と、中心市街地の活性化に一役買いたい考えだ。

同店は、2020年度に始まった市のチャレンジショップ支援事業を活用して出店した。同事業は、市が神宮周辺の活性化を目指す「宮中地区賑(にぎ)わい創出事業」の一環で、神宮周辺で出店する個人や法人に対し交付。これまでに5店舗が補助金を受けてオープンを実現させている。

新規出店した店舗について、市商工観光課は「話題の店が増え、人を引きつけつつある。既存店の刺激にもつながっているのでは」と高く評価する。

チャレンジショップの出店でまちの魅力度向上が図られる半面、賑わい創出事業の中核に据えられている「歴史資料館(仮称)」整備は、順調とは言い難い状況だ。

同館整備の構想が明らかにされたのは約8年前。当初予定した複合施設は、その機能が分離されたほか、建設場所の変更、新設から既存施設の活用と、整備方針が二転三転。一部市議からは「(同事業は)歴史資料館の事業『以外は』うまくいっている」とやゆする声が聞かれる。

コロナ禍前には、年間200万人の観光客が訪れたとされる鹿嶋市。限られた財源の中で、中心市街地の魅力をどのように創出するべきか。難しいかじ取りが求められている。



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