【「市民の選択」茨城・かすみがうら市長選を前に】 (上) 《連載:「市民の選択」茨城・かすみがうら市長選を前に》(上) 複合交流拠点施設
■土地取得、建設で賛否
7月3日告示、10日投開票で行われる茨城県かすみがうら市長選を前に、市の課題を探った。
JR神立駅から国道6号方面へ向け東西に貫く都市計画道路を進むと、かすみがうら市稲吉南に広大な空き地が現れる。市が建設を計画している複合交流拠点施設の予定地だ。
市によると、土地面積は2万8千平方メートル。民間企業の社宅跡地を購入する。施設は鉄骨平屋約2300平方メートル。蔵書2万冊の図書館機能、窓口業務の行政機能、カフェ・飲食空間、団体が利用できるコミュニティー空間などを見込む。残りの土地は都市公園とする。
総事業費は29億6千万円と想定。本年度に用地を購入し、2023年度に着工、24年度に建物利用、25年度に公園利用を始める。
■訴訟に発展
計画はこれまでに曲折があり、市民による住民監査請求や土地購入の契約差し止め訴訟が起きた。
監査請求や訴状によると、市は同施設の用地として民間企業と土地売買契約を予定。当初予定は5千平方メートルだったが、企業からの申し出を受け、市は都市公園を兼ねた施設にするため6倍近い面積の取得を決めた。市民らは「取得は必要な面積を超え、予定価格も高い」と訴えた。さらに、下稲吉地区の中心に適当な用地(公園)約5千平方メートルがあり、同施設に充てれば新たに土地を購入する必要はない、と主張した。
これに対し市は、下稲吉地区の公園は高圧線が通り、ヘリコプターの発着ができず防災拠点として活用が困難と説明。監査結果でも、5千平方メートルは当初計画ではなく、2万8千平方メートルとしたことは合理的理由を否定できないと結論づけた。ただ監査委員は「住民説明会を開催するなどして市民のニーズを把握することを強く勧告する」と市の説明不足を指摘した。これを受け市は住民説明会を開いた。
■割れる公約
経緯を踏まえ、市民からはさまざまな意見が聞かれる。近隣の女性(37)は「市中心部には図書館がなかったので楽しみ」と語る。一方、同市稲吉東、梅沢良正さん(71)は「計画の経緯が不透明。一度ストップして、市民の声を聞いてから再出発しても遅くない」と話した。
市議会は22日の定例会最終日に約10億円の土地購入契約の議案を賛成多数で可決した。
しかし7月予定の市長選では出馬予定者がそれぞれ計画について公約を公表。「全面見直し」「中身を見直し」「既存の計画を遂行」と意見が割れる。計画地近くに住む男性(72)は「選挙を通じて議論を深めるきっかけになれば」と期待を寄せた。











