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【茨城・潮来の針路 市長選を前に】 (上) 《連載:茨城・潮来の針路 市長選を前に》(上) 観光

新造した和船を使ったフォトウエディング=潮来市潮来
新造した和船を使ったフォトウエディング=潮来市潮来


■通年型へ拠点活用 東関道開通、どう影響
29日告示、2月5日投開票の茨城県潮来市長選の課題を探った。

古くから観光都市としてにぎわってきた潮来。しかし、長引くコロナ禍で潮来市も観光客が激減しており、ホテルや観光船業者で経営者が代わったり、休業したりという影響が出ている。市によると、2019年の観光客は約173万人。これが20年には約60万人と大きく落ち込んだ。昨年は水郷潮来あやめまつりで3年ぶりの嫁入り舟も運航されたが、まつり期間中の観光客は約21万人と、往時の3分の1以下。数年後に東関東自動車道の潮来インターチェンジ(IC)-鉾田IC間の開通を控え、観光都市としての潮来はターニングポイントを迎えている。

◆新たなイベント
コロナ禍以前、同市の観光の目玉は初夏から夏に集中していた。19年の観光客のうち、あやめまつりや祇園祭り、花火大会が行われる5、6、8月に集中している一方、それ以外の月は低調に推移している。1年の4分の3がオフシーズンだったという状況だ。

通年型観光化に向け、市はあやめ園近くに江戸時代に潮来で栄えた「河岸」の風景を再現した「津軽河岸あと広場」を整備。隣接する「水郷旧家磯山邸」と合わせ、観光拠点として活用を始めている。

これらのスポットでは、雛(ひな)飾りを展示する「水郷いたこ雛巡り」や、約4000の短冊が揺れる「風の音しらべ」、冬のイルミネーションなど、ここ数年で新たなイベントが考案されている。いわゆる「インスタ映え」を意識している点も特徴だ。

◆「ろ舟」を新造
また、あやめまつりで花嫁が乗る嫁入り舟に使われる「ろ舟」にも新たな動きが出てきた。数年前、最後の船大工が亡くなり、製造の技術が途絶えていたが、同広場や道の駅いたこを運営・管理する「いたこ」は昨年、有志を「名栗カヌー工房」(埼玉県飯能市)に派遣。和船の製造技術を学びながら、実際に1隻の和船を作った。舟は表面を繊維強化プラスチック(FRP)でコーティングしたもので、見た目こそ従来のろ舟と似ているものの、重さが約半分ほどまで軽量化されるなど、中身は全くの別物に仕上がった。

完成した舟は、昨年12月17日に行われたフォトウエディングで初めてお披露目された。「いたこ」が企画したもので、嫁入り舟に応募したものの、惜しくもかなわなかった夫婦が参加した。担当者は、同様のイベントの通年化も視野に入れているとし、「嫁入り舟は毎年抽選になっており、乗れない方が一定数いらっしゃる。ニーズをしっかり拾い、年間を通して多くの方に潮来へ来てもらえるようにしたい」と語った。

市観光商工課の担当者は「東関東自動車道の開通で、潮来が通過点になってしまうのではないか、という懸念はある」とした上で「水戸方面からの誘客が見込めるのは事実。プラスの要素に着目し、潮来の持つコンテンツを生かしていきたい」と話した。



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