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【茨城・潮来の針路 市長選を前に】 (下) 《連載:茨城・潮来の針路 市長選を前に》(下) 少子化

給食を食べる児童ら。昨年4月から完全無償化された=潮来市堀之内の牛堀小
給食を食べる児童ら。昨年4月から完全無償化された=潮来市堀之内の牛堀小


■定住人口増へ模索 学校給食を完全無償化
茨城県潮来市でも人口減少や少子化は急速に進行している。2022年4月には、同市牛堀地区が過疎地域にも指定された。現在の人口は鹿行5市で最小の2万6890人(昨年12月末現在)。市では「小規模自治体ならではのフットワークの軽さや、茨城の南の玄関口としての立地を生かしたい」として、給食無償化やランドセルプレゼントをはじめとする若年層世帯への支援や、新たに整備したグラウンドを活用した交流人口増加などを打ち出し、定住人口につなげようという模索が続く。

◆県内の市で初
2021年度に潮来市で生まれた子どもは111人。数年前まで、おおむね200人前後で推移していたというが、コロナ禍もあり、減少傾向に拍車がかかった。市教委によると、来年度、市内の市立小学校5校の新1年生は、2校が2クラス、3校は1クラスの予定という。

子育て世帯への負担を少しでも減らそうと、市は19年度からランドセルのプレゼントを開始。また、22年度からは、約8千万円の予算を計上し、県内の市としては初めて、コロナ禍対策以外での学校給食の完全無償化を始めた。

3人の小中学生の子どもを持つ30代の父親は「給食費の負担として年間15万円ほどが軽減された。とてもありがたい」と感謝する。一方で、子育てに際しての悩みを「公園の遊具が老朽化していたりするほか、球技が禁止されていたりして遊べる場が少ない。野球やサッカーなどを楽しめる広場を増やしてもらえたら」と注文した。

◆「人工芝」を整備
地域活性化の足掛かりとして期待されるのが、昨年4月に完成した前川運動公園の人工芝グラウンドだ。ピッチサイドのアップスペースをはじめ、屋根付きの観客席、ナイターに対応可能な高光量の照明なども完備。すでに高校サッカーの公式戦や高校・大学の強豪チームの練習場としての誘致にも成功しており、上々の滑り出しを見せる。

市の統計によると、同グラウンドはオープンから昨年12月までで延べ約2万6千人が利用し、うち市外からの利用者は約1万人だった。ここまでの稼働率は90%を超えているという。市教委の担当者は「潮来には鹿島アントラーズのホームタウンや、成田空港から近いという強みがある。スポーツツーリズムの拠点としてハードとソフト両面での整備を進める」と意気込む。

鹿行地域の競争相手でもある鹿嶋市や神栖市とどう差別化を図れるかが、今後潮来市が生き残る鍵を握る。市は、2月に日帰りの移住体験ツアーを予定している。企画自体は2年前から行う予定だったが、コロナ禍で中止となり、3年目にして初めての実施となる。

市企画調整課の担当者は「まずは潮来を知ってもらうことが大事。風土を実際に体験してもらって関係人口や交流人口を増やし、移住・定住につなげていきたい」と話す。



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