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【統一地方選 水戸市の課題】 (上) 《連載:統一地方選 水戸市の課題》(上) 中心街、活性化の鍵 市民会館に期待、懸念も

7月に開館を控える水戸市民会館=同市泉町
7月に開館を控える水戸市民会館=同市泉町


水戸市長選は4月16日告示、23日投開票の統一地方選で行われる。茨城県内唯一の「中核市」水戸は、人口減少対策や中心市街地の活性化など、難しい課題を抱えている。

「今のはマイクなしの地声ですか」。舞台上の声が想像以上に届いたとして、3階席の人が驚きの声を上げた。

7月2日に開館する水戸市泉町の新市民会館。市議会メンバーが2月、視察した。大ホールは県内最大の2千席を備える。

内部は大、中、小の各ホールのほか、会議室、展示室、やぐら広場など。「全てに凝っていて、まさに市民の財産」と、ある市議は感慨深げに見渡した。

■進む開館準備
2011年の東日本大震災の後、市役所に隣接する旧市民会館は「要耐震化」と診断され、解体と移転新築が決まった。

事業は市「4大プロジェクト」の一つ。市庁舎の建て替え、体育館、ごみ処理施設を整備する大型事業の締めくくりでもある。再開発組合が建設した建物を取得し、施設整備は22年度でほぼ完了した。

新市民会館は市民の芸術文化の振興と中心市街地のにぎわい創出を担う。3千人規模の会議など多目的に利用できるのが特徴だ。

市の担当者は「これまで呼びたくても呼べなかったビッグアーティストのコンサートや、大規模コンベンションを誘致できる」と期待。利用予約も順調に推移する。

12月には先進7カ国首脳会議(G7サミット)内務・安全担当大臣会合の会場となる予定で、周辺の商店街や観光スポットは「G7効果」に期待を寄せる。

■事業費の拡大
「文化普及のため、開館が待ち遠しい」「巨額の事業費が市の財政を圧迫」

新市民会館の整備事業を巡り、市民からは、利用を待ち望む声が上がる。同時に、事業費拡大による懸念も根強い。

事業費は14年の計画時点で68億円と公表。その後、15年に263億円、17年に285億円、19年に312億円と膨らんできた。最終的に駐車場や道路、備品、上空通路など関連事業費を含めると、総額で360億円を超える。

市は、建設地の建物に想定を超えるアスベスト(石綿)が含まれたことや、東京五輪の開催に伴う資材費や人件費の高騰などが要因としてきた。

建物は延期を重ね、昨年10月に完成。市は水戸芸術館、京成百貨店がある同区域の愛称を「MitoriO(ミトリオ)」と決め、市内外からの集客に向けたPRに注力する。今月、国道50号をまたぎ、新市民会館と同店を上空通路でつなぐ工事も済んだ。

中心街のにぎわいが再び取り戻せるか。県都の街づくりが問われる。



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