【部活動改革 茨城県内地域移行】 (5) 《連載:部活動改革 茨城県内地域移行》(5) 利用料「双方」に課題
■「事業としては成り立っていないのが実情」
休日部活動の地域移行を見据え、モデル校の水戸市立双葉台中に指導者を派遣するNPO法人オーカスポーツマネジメント(東京)の代表理事、桧山拡志さん(38)は、経営面の難しさを指摘する。
一方、利用料を支払う側の保護者の多くも抵抗感や不安感を抱いている。県PTA連絡協議会の県内アンケートで浮き彫りとなった。
地域移行に伴い、これまでの部活動ではほぼ発生しなかった「受益者負担」の在り方が問われている。
▼収支はマイナス
同NPOにはバレーボールの元全日本選手など、約130人の専門家が登録する。双葉台中には昨年度から、土日いずれかで毎週3時間程度、指導者を派遣している。本年度は、卓球、バスケットボール、ソフトテニス、剣道の各部活動に計5人を送り出す。
桧山さんによると、指導を受ける生徒は3年生の引退前で約100人。月謝は「実験的に」1人千円とした。指導者への補助が水戸市から1時間当たり1600円出ており、同校への派遣では月謝と合わせ約200万円の収入がある。
収支は「指導者への報酬だけで60万~70万円の赤字」。子どもや指導者のスポーツ保険加入、スケジュールや労務管理、学校への月報など事務的経費を含むと「大幅なマイナス」。他の事業で穴埋めしている。
事業として成立させるには、少なくとも現在の2倍の収入が必要。「指導者の質を確保し、責任を持ってやるにはボランティアでは厳しい」と指摘する。
▼困窮世帯の懸念
保護者側にとっては、受益者負担に対する抵抗感は根強い。いくつかのアンケート調査で浮き彫りとなっている。
自己負担はいくらが望ましいか-。同NPOが昨年9月、同校の保護者を対象にした調査では、1100~3千円と回答した人が52%と半数を超えた。千円以下と答えた人も37%に上った。
県PTA連合会が昨年10月、県内の小学4~6年と中学生の保護者を対象に行った調査では「利用料金の負担に不安がある」と答えた人が31%(複数回答可)を占めた。
自由記述では「(お金の負担などで)参加できない子どもが出ないか心配」と、困窮世帯への影響を懸念する声もあった。
▼補助を含め検討
昨年2~5月に開かれた県教委の有識者会議では、保護者の負担が大きいと地域移行が進まないとの意見があった。スポーツ庁の有識者会議の提言では、特に困窮世帯の子どもが参加できるような費用補助が必要としている。
県教委保健体育課は保護者の負担軽減に関し、県内の市町村長などから強い要望を受けているとして、「(負担について)保護者の理解をしっかり求めていくとともに、どうやったら負担を抑えられるか、金銭的な補助を含め検討している」と強調した。
桧山さんは、行政による支援が必要とした上で、「対象は地域クラブの活動に限らず、塾など子どもの習い事に広く活用できれば平等になる」と話し、子育て支援としての補助を提案する。
休日部活動の地域移行を見据え、モデル校の水戸市立双葉台中に指導者を派遣するNPO法人オーカスポーツマネジメント(東京)の代表理事、桧山拡志さん(38)は、経営面の難しさを指摘する。
一方、利用料を支払う側の保護者の多くも抵抗感や不安感を抱いている。県PTA連絡協議会の県内アンケートで浮き彫りとなった。
地域移行に伴い、これまでの部活動ではほぼ発生しなかった「受益者負担」の在り方が問われている。
▼収支はマイナス
同NPOにはバレーボールの元全日本選手など、約130人の専門家が登録する。双葉台中には昨年度から、土日いずれかで毎週3時間程度、指導者を派遣している。本年度は、卓球、バスケットボール、ソフトテニス、剣道の各部活動に計5人を送り出す。
桧山さんによると、指導を受ける生徒は3年生の引退前で約100人。月謝は「実験的に」1人千円とした。指導者への補助が水戸市から1時間当たり1600円出ており、同校への派遣では月謝と合わせ約200万円の収入がある。
収支は「指導者への報酬だけで60万~70万円の赤字」。子どもや指導者のスポーツ保険加入、スケジュールや労務管理、学校への月報など事務的経費を含むと「大幅なマイナス」。他の事業で穴埋めしている。
事業として成立させるには、少なくとも現在の2倍の収入が必要。「指導者の質を確保し、責任を持ってやるにはボランティアでは厳しい」と指摘する。
▼困窮世帯の懸念
保護者側にとっては、受益者負担に対する抵抗感は根強い。いくつかのアンケート調査で浮き彫りとなっている。
自己負担はいくらが望ましいか-。同NPOが昨年9月、同校の保護者を対象にした調査では、1100~3千円と回答した人が52%と半数を超えた。千円以下と答えた人も37%に上った。
県PTA連合会が昨年10月、県内の小学4~6年と中学生の保護者を対象に行った調査では「利用料金の負担に不安がある」と答えた人が31%(複数回答可)を占めた。
自由記述では「(お金の負担などで)参加できない子どもが出ないか心配」と、困窮世帯への影響を懸念する声もあった。
▼補助を含め検討
昨年2~5月に開かれた県教委の有識者会議では、保護者の負担が大きいと地域移行が進まないとの意見があった。スポーツ庁の有識者会議の提言では、特に困窮世帯の子どもが参加できるような費用補助が必要としている。
県教委保健体育課は保護者の負担軽減に関し、県内の市町村長などから強い要望を受けているとして、「(負担について)保護者の理解をしっかり求めていくとともに、どうやったら負担を抑えられるか、金銭的な補助を含め検討している」と強調した。
桧山さんは、行政による支援が必要とした上で、「対象は地域クラブの活動に限らず、塾など子どもの習い事に広く活用できれば平等になる」と話し、子育て支援としての補助を提案する。
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