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【23年統一地方選 茨城町の課題】 (上) 《連載:23年統一地方選 茨城町の課題》(上)芸術文化、防災の拠点 新施設整備へ町民と協働

新しい文化的施設の仕様をミニチュア模型を使って説明される町民と高校生ら=茨城町小堤
新しい文化的施設の仕様をミニチュア模型を使って説明される町民と高校生ら=茨城町小堤


「町内の空き店舗や空き家を活用して、普段、食べに行けない店に出張してもらい、そこで料理を提供してもらう」「工場などの広い空間で、大型の人形劇を上演する」。2月15日、茨城県茨城町小堤の町総合福祉センターゆうゆう館。町が役場と同館の隣に建設する新たな文化的施設に関し、町民らによるワークショップが開かれ、活発な意見が交わされた。

参加したのは町民8人と県立茨城東高の生徒7人。町民20人がメンバーのワークショップで、高校生と合同で行われるのは昨年12月に続き2回目。この日は普段、施設に来られない人や来る機会が少ない人に楽しんでもらう施設外での企画を考えた。ワークショップは8月までにあと3回開かれる予定で、そこで出たアイデアは施設の管理運営計画に反映される。施設を使う町民と協働でハード、ソフトの検討が進む。

■26年度オープン
施設は昨年9月に基本設計が策定され、2026年度のオープンを予定している。11年の東日本大震災で被災して使用不能となった町立中央公民館に代わる施設だ。計画では、敷地約9950平方メートルに鉄骨コンクリート(一部鉄骨)造り3階建て延べ床面積3560平方メートルを建てる。平土間に可変するホール(492席)のほか、会議室や創作室、多目的室などを備え、屋外イベント広場や芝生広場で催しが楽しめる。

2月11日の「町民の日」記念式典では、出席した町民らに施設の基本設計がイメージ図とともにスクリーンに映し出され、概要がお披露目された。震災以降、ホールとして使われてきた中央公民館体育館は今秋に解体される予定だ。施設は公民館機能のほか、町民の芸術文化と防災の拠点としての役割を併せ持つ。

■白紙から再検討
施設整備を巡っては紆余(うよ)曲折があった。町は13年に同町小幡の県養鶏試験場跡地4万6600平方メートルを建設用地として購入し、800席の大ホールなどを盛り込んだ基本設計を策定した。しかし東京五輪を控え、建設資材や人件費が高騰したため、事業費が当初の36億円から44億円に膨らんだ。このため、翌14年には実施設計など建設延期を表明。その後、町は17年に整備方針の見直しに着手した。だが国の制度改正で市街化調整区域の同跡地での建設が交付金の対象から外れることになり、20年に当初の計画を白紙に戻し、立地を含めて再検討に入った。

この間、公民館機能は町駒場庁舎に移った。同庁舎は小学校統廃合により、使われなくなった旧駒場小の建物を転用したもので、町教育委員会が入居。教室だった部屋は文化団体などが活動に使っている。町には廃校になった小学校跡地と同様に、施設用地として購入した土地の利活用が課題として残る。一方で、施設には、震災やコロナ禍で停滞した町民の芸術文化活動の拠点と、その活性化へ期待が膨らむ。

任期満了に伴う茨城町長選は18日告示、23日投開票で行われる。選挙を前に町の課題を探った。



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