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【茨城・常陸大宮市の課題 市長選を前に】 (上) 《連載:茨城・常陸大宮市の課題 市長選を前に》(上) 加速する高齢化

グラウンド・ゴルフを楽しむ高齢者。今後抱える課題への支援策が急務だ
グラウンド・ゴルフを楽しむ高齢者。今後抱える課題への支援策が急務だ


任期満了に伴う茨城県常陸大宮市長選は7日告示、14日投開票で行われる。市長選を前に市の課題を探った。

■耕作放棄地どう解消 交通手段の確保も急務

「高齢の親から任された田畑が点在したまま。他の人に耕作を頼むにも、受けてもらえるような後継者のいる農家が近くにない。草刈りを知り合いにやってもらう程度で、今後どう管理していくか悩んでいる」

こう話すのは、市の北部に実家があり、同県水戸市に住む会社員、男性(49)。子どもの頃と比べて地域の人口はどんどん減り、「将来、学校や病院が近くになくなってしまうのではないか」という不安が増すばかりだ。子育てを考えて、結婚後に故郷に戻ることを諦めたという。

▽地域ごと目標値

過疎化による人口減少と住民の高齢化を抱える常陸大宮市。人口は合併時の2004年の4万9千人から、今年3月には3万7千人へ、24%減少している。最近4年間は毎年600人前後減っている。一方、高齢化率は上昇の一途をたどる。合併時の20年前の高齢化率は28・2%だったが、現在は39・23%に上り、深刻さは増すばかりだ。

これに伴い、耕作放棄地の総面積も拡大傾向にあり、現在では396ヘクタールに上るという。人の手が届かない荒れ地は確実に広がっている。

農業収益の伸び悩みや担い手不足が著しい中山間地は、農地の利用効率が悪く集約できない。そこで、地域ごとに作付け品目や面積の目標値を定めてもらうなど、耕作放棄地の解消に向け、市は取り組みを進めている。

高齢化に伴う課題として、自動車運転免許の返納者が今後ますます増えているのも無視できない。マイカーが使えなくなった高齢者の足となる交通手段の確保や活性化支援も急務だ。

市の「予約制乗合タクシー」に昨年12月から、予約状況に応じて運行ルートや配車を人工知能(AI)が行うデマンド交通システムを導入している。ドアツードアが基本で、市内全域で運行をスタートさせた。しかし、事前予約が難しいという苦情や、市中心部と周辺部の利便性に差異が生じるなど、課題が浮き彫りになっている。

4月からバス路線の廃止や減便があることから、同タクシーの運行日数を増やし、運行時間を延ばすとしているものの、利用者からの需要に対応できるか疑問だ。

▽移動販売を支援

〝買い物弱者〟の支援も不可欠だろう。NPO法人が2年半前から、市の補助金を受けて食料品や生活用品などを載せた軽トラックで、各地域を巡る移動販売をスタートさせ、好評だ。利用地域を順次広げていくというが、実行されるか注目される。

高齢化率の高い集落の現状と課題を把握し、活性化を目指した「集落支援員」制度は、地域の実態が伴わなくなり市が廃止している。1人暮らしの高齢者を孤立させない施策、空き家対策が最優先課題だ。



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