【トランプ関税24%ショック】 (下) 《連載:トランプ関税24%ショック》(下) 相談に追われる金融機関 茨城県内、投資家から不安の声

トランプ米政権の関税政策に相場が振り回されて株価の乱高下が続き、茨城県内の証券会社は投資家からの相談対応に追われている。
「含み損になったが大丈夫か」。水戸市南町の水戸証券水戸支店では「相互関税」の第2弾が発動した9日、主に少額投資非課税制度「新NISA」の利用者から不安の声が寄せられた。営業員は電話で「長期的な分散投資で時間を味方につけ、将来の資産形成にお役立てください」と、落ち着いた対応をするよう説明していた。
第1弾が発動した5日以降、受けた電話相談は通常より3割増。加えて同店から、積極的に投資家に連絡を入れていて、忙しさを増している。今後は投資家向けに臨時のセミナーを開く計画をしている。
角川僚一支店長は、乱高下する株価はトランプ大統領の発言に左右されているとし、関税停止の発表を予想できた人は少なかったという。「しばらくは大きな変動が続く。5月中旬の上場企業の業績見通しで関税の影響があまりないとなれば、元の上昇傾向に戻る可能性が高い」と展望する。
相互関税の上乗せ分の90日間停止措置が発表されたが、事業者への影響は不透明なままだ。関係機関では相談窓口を設けるなど、支援体制を整えている。
影響が懸念される事業者向けに、常陽銀行(水戸市)は本店を含む各支店で融資や資金繰りに関する相談を受けている。支援融資の取り扱いも始めた。担当者によると、現状では静観している事業者が多い。停止措置発表前、水戸信用金庫(同)には「取引先が影響を受ける可能性がある」と、心配の声が寄せられていた。
ほかの県内の主要金融機関をはじめ、県や日本貿易振興機構茨城貿易情報センター(水戸市、ジェトロ茨城)も相談窓口を設置し、影響を調べている。
国は自動車などの追加関税の影響が懸念される企業に向け、政府系金融機関や商工団体など、全国約千カ所に特別相談窓口を設置した。茨城県では県商工会連合会(同)、県中小企業団体中央会(同)など計18機関・団体にある。
このうち県商工会議所連合会(同)は「サプライチェーン(供給網)に入っている会員は少なくない」と警戒を強めている。