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【悲願の夏 高校野球茨城大会】 (上) 《連載:悲願の夏 高校野球茨城大会》(上) 茎崎2年・梅山選手

守備練習に励む茎崎の梅山昊選手=つくば市茎崎
守備練習に励む茎崎の梅山昊選手=つくば市茎崎
茎崎高生として19年ぶりの出場となる梅山昊選手(右)と中田裕大監督
茎崎高生として19年ぶりの出場となる梅山昊選手(右)と中田裕大監督


7月5日に第107回全国高校野球選手権茨城大会が開幕する。出場にこぎ着けた球児たちの軌跡を追った。

■部再興 19年ぶり出場 監督と二人三脚 連合チーム参加

「ワクワクしている」

茨城県立茎崎高(同県つくば市茎崎)の野球部を復活させた梅山昊(ごう)選手(17)=2年=が、後輩2人とともに県西連合の一員として夏の高校野球茨城大会に出場する。同校の選手の参加は2006年以来19年ぶり。地道な努力と、監督の支えが道を開いた。

1993年には夏4強入りを果たすなど、輝かしい実績を持つ同校。近年は部員不足や定時制(フレックススクール)への移行の影響などで、野球部は休部状態となり、長らく軟式野球部として活動を続けていた。

こうした中、梅山選手が入学し、中田裕大監督(26)に告げた。「硬式野球をやりたいです」

中学時代は毎朝遅刻し、学校に登校しない日も多かった。所属していたバスケットボール部の練習にも全く参加しなかったという。これまでの自分を変えるために「追い込みたい気持ちがあった」。

熱い思いは高校球児だった中田監督を突き動かした。昨年8月、14年ぶりとなる硬式野球部の再興が決まった。

船出は険しかった。軟式時代は不定期だった練習は硬式に移行して週5日に増加。本格的な練習に部員が集まらず、実質1人の状態が続いた。グラウンドは長年使用してこなかった影響もあり、一面に雑草が生い茂るなど荒れ果てた状態だった。

「今までの自分と違うところを見せる」。苦難にも意志は揺るがなかった。真夏の厳しい環境下、黙々と雑草を抜いた。入部当初は塁間でのキャッチボールすらままならなかったが、さじを投げず、中田監督と1対1の練習を重ねた。今では外野の定位置から、矢のようなノーバウンドの送球を本塁へ返せるようになった。

向上したのは技量だけではない。引っ込み思案で人前に立つこともなかった中学時代とは対照的に、現在は生徒会役員として学校が抱える課題の解決に尽力している。教え子の変化を間近で見てきた中田監督は「夏を経験させてやりたい」と、周辺の高校に掛け合い、今春から県西連合に加わった。

師との二人三脚で、野球部に再び命を吹き込んだ梅山選手。大会が迫る中、日焼けした笑顔で力強く語った。「茎崎生として、恥ずかしくない姿を球場で見せたい」



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