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《思いをどこへ 参院選茨城》ひとり親 子育て苦心

高校生の息子を育てるシングルマザーの女性=県内
高校生の息子を育てるシングルマザーの女性=県内


■安心して働ける社会願う

「なんで僕はママといられないの」

茨城県常陸太田市に住むシングルマザーの女性(44)は10年ほど前、保育園児の長男の言葉に転職を決めた。転職活動中、ひとり親を理由に落とされたこともあった。それでも縁あって、大手保険の営業に転職した。長男への申し訳なさは、今も胸に残る。

以前はネイリストとして週6日働き、帰宅は午後10時過ぎだった。子どもの看病などで休みを取ると、埋め合わせで連勤が続き、一緒に過ごせる時間はほぼなかった。現在の会社では休みが増え、福利厚生も充実している。

ただ、仕事の成果次第では手取りが10万円を切る月もある。コメやガソリンをはじめ、物価の高騰の影響を強く感じている。「子どもの送り迎えや仕事でも使うので、せめてガソリン価格は下がってほしい」

子が最優先で、個人的な買い物は必要最小限にしている。好きだったネイルはしていない。長男には行きたい大学に行ってほしいと考え、「奨学金を借りてほしい」と伝えている。

2020年の国勢調査によると、県内には母子家庭が1万4377世帯、父子家庭が1845世帯ある。国の別の調査では、母子世帯の平均年収は子育て世帯の2分の1以下だった。

「コロナ禍から、ここ5年は今までにない厳しい状況」。県母子寡婦連合会の境洋子会長は危機感をあらわにする。

同会で支援する母子家庭の多くは中小企業勤めで、派遣やパートといった非正規が大半。給与や福利厚生の面で不利な立場に置かれやすく、コロナ禍では雇い止めが相次ぎ、今は物価高に苦しむ。近年は、支援を求め同会に駆け込む人が相次いでいるという。

境会長は、ひとり親では子どもの看病で休まざるを得ないことがあり「会社にいづらい雰囲気になってしまいがち」とも指摘。病児保育の拡充を含め「負担の軽減を全体で考えてほしい」と政治に託す。

シングルマザーの女性は、自分はまだ運がいいと気丈に語り、「中小や非正規でも、子どもと過ごす時間を大事にしながら、安心して働ける社会になってほしい」。どんな境遇でも、子育てに不安のない社会の実現を願った。



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