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【検証 参院選茨城】 (上) 《連載:検証 参院選茨城》(上) 自民・上月氏、首位堅持 組織力、逆風しのぐ

3度目の当選を確実にし、関係者から祝福を受ける上月良祐氏(中央)=20日午後10時18分、水戸市泉町
3度目の当選を確実にし、関係者から祝福を受ける上月良祐氏(中央)=20日午後10時18分、水戸市泉町


自民党と旧民主党系が長年分け合ってきた2議席の一つを新興政党の参政党が奪うなど、激しい争いとなった茨城選挙区を振り返る。

昨年秋の衆院選に続き、自民党県連は厳しい戦いを強いられた。派閥の裏金事件に端を発した「政治とカネ」を巡る不信感は根強く尾を引き、物価高騰や米政権による関税措置への対応など難しいかじ取りが迫られる中で、政権与党に対する風当たりの強さが増していたためだ。

こうした逆風の中、上月良祐氏(62)は6年前の前回より得票数を落としたものの、トップで3選。「上月さんだったから乗り越えられた。新人だったら難しかった」。茨城県連の海野透会長は上月氏の実績を評価し、胸をなで下ろす。

茨城選挙区の議席は堅持したものの、全国では自民・公明両党で過半数を維持できず、衆議院に続き参議院でも少数与党に転じた。20日夜、上月氏当選に沸く水戸市内事務所で、県連内部からは党を糾弾する厳しい意見が漏れた。「石破総裁も森山幹事長も、責任を取るべきだ」

■示した底力

上月氏の公認が決まった1年ほど前から、陣営や県連は厳しい戦いになることを想定してきた。今回の参院選を「事実上の政権選択選挙」として位置付け、全国の比例候補にはそれぞれ県議40人を割り当て、各職域団体とともに票の掘り起こしを図った。

一方で、2期12年間に及ぶ経験値や経済産業副大臣、党農林部会長などの実績から、「上月さんは大丈夫」との声も少なくなかった。気の緩みを警戒し、県連幹部らはさまざまな会合で厳しい現状を説明。「剣が峰の戦いになる」「崖っぷちの選挙だ」と、党員や支持者らを引き締めた。

議席の6割超を占める県議団や職域・地域支部、市町村長など、強固な組織を最大限生かし、「保守王国」としての底力を示した。推薦団体は6年前を上回る1700団体を超え、連立を組む公明党からも推薦を受けるなど組織力で逆風をしのいだ。

■課せられた宿題

選挙中は、別の風にもあおられた。勢いを増す参政党が県内でも「台風の目」となり躍進。保守層も含めた支持を広く集め、保守地盤が厚い金城湯池の茨城県で存在感を示した。危機感を募らせた県連は、16日の選挙対策委員会で県議団に声かけや遊説応援などの徹底を促し、発破をかけるなど対応に追われた。

「国民に対し、手取りや実質賃金の増加という形で成果を示せなかった不満の表れ」。上月氏は当選後、新興政党に伸長の余地を与えた与党の問題点を指摘。「経済の状況が悪いままで、与党が勝つことはない」とし、3期目への意気込みを示した。

今後、政権交代も現実味を帯びる。「自民党は大いに反省しなければならない。体質を大胆に変える必要がある」。海野会長は党の再生と日本の安定成長に向け、参院選で課せられた多くの宿題を見据えた。



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