《連載:ともに頂へ Jリーグ最終盤 茨城》(上) J1鹿島「勝ち切る」 9季ぶりへ高まる期待
いざ、ともに頂へ-。残り試合がわずかとなり、優勝争いが佳境を迎えているサッカーJリーグ。茨城県のJ1鹿島アントラーズとJ2水戸ホーリーホックは、いずれも現在首位を走っている。鹿島は9季ぶりの王座奪還、水戸は初のJ2制覇とJ1昇格に向け、両クラブのサポーターのみならず、県民の期待の声が日に日に増している。
▼長らく無冠
これまで手にしてきたタイトルの数を意味する20個の星を胸に掲げ、「常勝軍団」と称されるJ1鹿島。だが、国内主要タイトルの獲得は、リーグと天皇杯の2冠を達成した2016年シーズンから遠ざかっており、長らく無冠の屈辱を味わってきた。
盟主復活へ今季はクラブOBで川崎フロンターレを強豪に押し上げた鬼木達氏(51)を監督を招へい。鹿島伝統の勝負強さと、指揮官が川崎で一時代を築いた流れるようなパスサッカーの融合を目指し、「リーグ優勝」を目標にチームの強化を図った。
▼戦術、着実に浸透
主力複数人のけがによる長期離脱といったアクシデントや、カップ戦の早期敗退などの困難を乗り越え、チームはここまで着実に勝ち星を積み重ねてきた。エースFWの鈴木優磨(29)が「すごく成長を実感している。何年後かにはリーグを席巻する時が来ると思う」と予測したように、試合を重ねるたびに指揮官の志す戦術が着実に浸透し、鹿島らしい勝負強さも際立っていった。
紆余(うよ)曲折を経て上位を死守してきたシーズンも、残りはついに3試合となった。鬼木監督が「勝ち切らないと優勝はない」と強調するように、2位柏レイソルとの勝ち点差はわずか1に迫っており、一つの引き分けも許されない状況だ。常勝軍団復活ののろしを上げるJ1制覇を果たすべく、鈴木は「気合で戦っていく」と鋭いまなざしで語り、3戦全勝で頂点をつかむことを強く誓う。
▼街に歓喜を
鹿島の久々のタイトル獲得が現実味を帯びてきた状況に、地元からも期待の声が高まっている。
同県鹿嶋市のパート従業員、佐藤雄二さん(64)は「鹿島が勝つとやっぱり街が盛り上がる。今季こそ絶対優勝してほしい」とエールを送る。同市神野、会社員、林真希さん(30)も「ずっとタイトルを取れていなくて寂しかった。必ず3連勝で優勝を勝ち取ってほしい」と期待を寄せる。
多くの鹿島の選手が訪れる、同市平井のコーヒーショップ「K3Cafe」店主の安宅確英(やすみかくえい)(56)さんは「いつにも増してスタジアムの盛り上がりがすごいし、やっぱりわくわくする」と笑顔。「悔しい思いをしてきたので、今度は優勝してお店に来てもらい、選手と一緒に喜び合いたい」と悲願達成を願った。












