《連載:ともに頂へ Jリーグ最終版 茨城》(下) J2水戸 昇格目前 参入26年、初優勝も射程
									サッカーJ2水戸ホーリーホックの悲願達成が目前に迫っている。2日の第35節終了時点での通算成績は19勝10分け6敗、勝ち点67で首位に立つ。残り3試合でJ1昇格を争う3~6位のプレーオフ圏内を決めた。次節にも水戸が勝利すれば、他チームの結果次第では、2位以内の自動昇格、さらにはリーグ初優勝が決まる。
▼「J2の番人」
水戸は2000年のJ2参入以来、昇降格がない。特定の親会社を持たない「地方市民クラブ」で、資金力はリーグ下位に属し、残留争いに巻き込まれることが大半だった。これまでの最高成績は03、19年の7位。昇格を懸けたプレーオフに進出したこともなかった。
しかし、今季は中盤戦で8連勝を含む15試合連続無敗を記録し、第20節今治戦から約4カ月間にわたり首位を維持するなど、かつてない好調ぶりだ。終盤に入り、第34節札幌戦で再び首位に返り咲くと、第35節甲府戦で連勝を収めてJ1昇格まであと一歩に迫った。これまで「J2の番人」「おくりみと」などとやゆされてきたクラブに最大の好機が訪れている。
▼堅守速攻で席巻
就任2年目の森直樹監督(47)が志向する戦術は「堅守速攻」。ショートカウンターを基にした直線的な攻撃が特長だ。ここまで30失点はリーグで2番目に少なく、得失点差は22と最高水準を誇る。接戦をものにする勝負強さが際立ち、連敗がない。J2日本人最多の13得点を挙げるFW渡辺新太(30)を筆頭に、今季加入した選手が軒並み主力として活躍している。
クラブ関係者によると、今季のトップチーム強化費は5億円を超え、過去最高額で昨季の3億8000万円を大きく上回る。渡辺が負傷離脱する現在は、高卒2年目でU-20(20歳以下)日本代表のMF斎藤俊輔(20)ら若手が活躍し躍進を支えている。
▼PVも盛況
好調ぶりに、応援するサポーターも熱が帯びる。上位対決となった10月19日の第33節千葉戦はケーズデンキスタジアム水戸に今季最多の9897人が詰めかけた。敵地戦ではホームタウン県内15市町村の各地で行われたパブリックビューイング(PV)も盛況だ。応援団長の同県水戸市吉沢町、団体職員、飯田達也さん(29)は「いよいよ待ちに待った瞬間が来る。自力で優勝と昇格を決めるチャンスだ。今季終盤につれて応援の熱量や客入りが増えてきた」と声を弾ませる。
サポーター歴12年で自作の応援ボードを掲げて声援を送る同県城里町石塚、無職、播田実幸子さん(72)は「応援を始めた当初では考えられない、夢のような成績。残り3試合は全勝してほしい。熱のこもった応援で後押ししたい」と語った。
                    
                                            
                        
                        









