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インターハイ中止 前代未聞「言葉出ない」 茨城県予定の4競技 開催準備、水の泡に

全国高校総体の競泳と飛び込みの会場となっていた山新スイミングアリーナ=ひたちなか市佐和
全国高校総体の競泳と飛び込みの会場となっていた山新スイミングアリーナ=ひたちなか市佐和


史上初の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止を受け、選手からは「今までの努力をどこで発揮すればいいのか」と落胆の声が上がり、指導者は「子どもたちの進路に影響が出る」と今後を心配した。前代未聞の事態に、会場地となっていた競技の関係者は「実際に中止となると言葉が出ない」と肩を落とした。

茨城県では4競技の開催が予定されていた。県高体連の各競技の専門部は運営の中心で、開催への準備を続けてきたが、苦労は水の泡となった。

水泳(競泳、飛込)はひたちなか市の山新スイミングアリーナで行われるはずだった。県高体連水泳専門部の麻植(あさうえ)崇允(たかよし)委員長は2年超にわたる準備の中心人物。中止決定を聞くと、「準備の成果を発揮できずにつらい。自分よりも、練習の成果を発揮できない選手はさらに悔しい気持ちを持っているだろう」と無念をにじませた。

麻植委員長は2018年度から会場地担当教員として、ひたちなか市役所での勤務を開始。会場のレイアウト、警備、清掃、輸送などの計画をつくった。19年度は南部九州総体を視察。JR勝田駅前での広報活動も行ってきた。

本年度は新型コロナウイルスの感染が拡大し、次々と予定が狂った。県高校総体は中止となり、実行委員会の設立総会が延期。インターハイを開催すれば、選手や観客などを合わせて4千人弱が会場に集まる予定だった。無観客にしても感染拡大を防ぐのは困難で、中止の判断は「安全を考えれば仕方がない」と納得した。

重量挙げ専門部は通常開催、規模縮小、延期、中止の4パターンを想定し、会場を設営する業者などとの契約は26日の判断を受けて着手することにしていた。佐藤翔平委員長は「命に関わる問題。もしやるとなった場合は、どう感染防止対策をするか不安はあった」と明かした。

バレーボール専門部は昨年、結城、筑西、古河の3市と実行委員会を設立し準備を進めてきた。渡辺修士委員長は「いろいろな大会がなくなって覚悟はしていたが、実際に中止となると言葉が出ない」と落胆した。

弓道専門部の松崎稔昌委員長は「生徒たちのことを思えば残念だが、移動のリスクなど開催にはクリアすべきハードルが高く、仕方ない」と話した。3年生が参加する試合を開きたい気持ちはあるが、「進学や就職など進路も考えなければならない。先も読めない状況で、現時点で別の大会開催は想定できない」と厳しい表情を見せた。(岡田恭平、関口沙弥加)



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