インターハイ中止 監督「必ずいいとき来る」 選手「努力をどこで発揮」
全国高校総体で4度の優勝を誇る守谷剣道部の塚本浩一監督(58)は「子どもたちは中止の覚悟と(開催への)かすかな望みを持っていたと思う。何とも言えない」と受け止めを語った。これまで主要な大会が全て中止になっていることに触れ、「子どもたちの進路が懸かっている」と大学進学への影響を示唆した。
高校は休校中で生徒と顔を合わせることはない。再開後には「面と向かって話をするのが切ないし、苦しい。必ずいいときが来るからと伝えたい」と心情を吐露した。3年生6人は日記に「日本一になって家族に恩返しをしたい」とつづっていた。ネットニュースで中止を知った選手からは「高校日本一がゴールじゃない。これからの目標に向けて頑張っていく」などと連絡が集まったという。
2015年に初優勝を果たした藤代紫水ハンドボール部の滝川一徳監督(50)は「ある程度覚悟は決めていた」と語った。全国大会だけでなく、県大会や地区予選もない状況に「3年生がそれぞれの目標をかなえる場所がなくなってしまった」と悔しさを口にした。生徒たちには「負けるな」と伝えていく。目標に向かって全力で戦うことを説く「心の中の金メダル」をそれぞれが目指していくことの重要性を強調した。
鹿島学園レスリング部の高野謙二監督(52)は「現実を受け止めなければいけない。心折れることなく、大学に進学してレスリングを続け、頑張るように伝えた」と話した。早見和馬主将(3年)は「集大成がなくなり、残念。現実感がないが、高校だけがレスリング人生ではない」と前を向いた。
地元開催のインターハイを目指して練習を重ねてきた女子バレーボールや飛び込みの選手らも落胆を隠せなかった。
日立二バレーボール部のエース・石崎愛香(同)は「インターハイでのベスト8以上を目標にしてきた。最終学年で大きい大会が一つでもなくなるのは寂しい」と率直に語った。今後については「(来年1月予定の)『春高』は絶対開催すると信じてやっていく」と願いを込めた。
茨城国体少年女子板飛び込みで準優勝を飾り、インターハイでの活躍が期待されていた茨城高の北村夢(同)は「中学生の頃から地元開催の国体、インターハイに向けて強化をしてもらっていた。今までの努力をどこで発揮すればいいんだろう」と決定を受け入れられない様子だった。(志賀敦文)