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【22茨城県議選 検証】 (上) 《連載:22茨城県議選 検証》(上) 自民・公明 逆風で苦戦、現実に 現職「看板」が裏目

自民党県連本部で記者会見する梶山弘志会長(左から2人目)ら=11日夜、水戸市笠原町
自民党県連本部で記者会見する梶山弘志会長(左から2人目)ら=11日夜、水戸市笠原町


激戦の茨城県議選が終わった。勢力維持、初めての議席獲得、涙の落選-。各党派の戦いを振り返る。

「思った以上に現職が負けている」

茨城県議選投開票の11日夜、水戸市内の自民党県連本部に集まった幹部らが、開票速報を見てつぶやいた。主に保守分裂となった選挙区で、現職の落選の知らせが相次いだ。そこへ県連幹部の携帯電話が鳴った。

「幹事長が落選した」

西條昌良幹事長本人からの連絡を伝えると、前回に続く現職幹事長の落選に、その場にいた議員や大井川和彦知事の表情がこわばった。

記者会見で梶山弘志県連会長は、保守系無所属新人の会派入りを見込み、「今後の会派構成を見てほしい」と話したが、幹事長やベテランの落選には「残念だ」と声を落とした。

■「保守王国」は維持

自民は公認45人中35人が当選し、無投票当選も含めて全62議席の過半数を維持した。空白区の日立市区、那珂市区で推薦した新人計2人が当選したものの、現職10人が落選。相手候補の大半が保守系無所属のため自民会派入りが想定され、「保守王国」の勢力は維持される。ただ、ベテランや中堅の落選は今後の党運営にも影響する。

無投票の選挙区は前回の13から6と大幅に減った。保守系同士が議席を争う選挙区がそれだけ多いことになり、海野透会長代行は告示前の議員会で「このままでは3分の1が落ちる」と危機感を強調。選挙から一夜明けた12日、「本当に苦しい戦いだった」と吐露した。

■自民よりも無所属

選挙戦は各政党が来春の統一地方選の前哨戦と位置付ける中、岸田政権での旧統一教会問題や相次ぐ閣僚辞任、さらに投票日直前の「防衛増税」表明など、県議選で戦う自民候補にとって「逆風」が相次いだ。

衆院3区選出の葉梨康弘前法相の辞任で、選挙区内の候補は同氏との顔を並べた2連ポスターを貼り替えるなど対応に追われた。現職2人が独占していた牛久市区は維新新人にトップで議席を奪われ、美浦村・阿見町区ではベテラン現職が、直前に出馬表明した立憲民主党の20代新人候補に票差を詰められた。

国政で連立を組む公明党は4議席確保に向け、党本部から山口那津男代表や石井啓一幹事長が相次いで茨城県入りし、支持拡大を訴えた。同時に各選挙区で当落線上にあった自民候補の押し上げにも力を注いだ。

風は保守系同士の争いにも影響した。ある中堅議員は「無所属のほうが政権批判票の受け皿になった。自民の看板で、もろに逆風を受けた現職もいた」と話し、無党派層の多い県南地域を中心に政党色が裏目に出たと分析する。

自民県連は来年3月の定期大会に向け、役員人事の調整など、新たな体制づくりを進める。二元代表制の一翼を担う県議会の最大会派として、ともに県政を担う大井川知事との間合いをどう保っていくのか、大きな焦点となる。



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