【22茨城県議選 検証】 (下) 《連載:22茨城県議選 検証》(下) 立民・国民・共産 対決の構図示せず 戦略の見直し急務
茨城県議選激戦の舞台となった水戸市・城里町区。同市の商店街にある立憲民主現職、玉造順一氏(51)の事務所は11日午後10時過ぎ、歓喜の声に沸いた。
「議論ができる風通しのいい議会をつくりたい」。2期目への意気込みを語った玉造氏は、4年前に自ら築いた立民の議席存続に胸をなで下ろした。
現職の2議席を守った立民だったが、当初もくろんだ複数区への新人擁立は1選挙区のみにとどまり、野党第一党としての存在感は示せなかった。多くの選挙区で与野党対決の構図を生み出せないまま、選挙戦終盤、応援に入った岡田克也幹事長は「本当はもっと(候補者を)立てたかった」と準備不足をこぼした。
唯一新人を立てた美浦村・阿見町区では自民党の重鎮を前に健闘。出馬表明が出遅れた中で、得票率では8・86ポイント差まで迫る戦いを見せた。推薦した「つくば・市民ネットワーク」の新人が当選したことで、議会での連携を視野に入れるものの、埋没感を懸念する。
■激戦区で死守
「本当に苦しかった」
開票当夜、4選を果たした国民民主現職の斎藤英彰氏(62)は、事務所に集まった支援者らを前に声を詰まらせた。「労組の牙城」とされ、旧民主時代から2議席を堅持してきた日立市区。今回は保守系同士の争いも加わり、誰が落選してもおかしくない厳しい選挙戦となった。
国民はひたちなか市区を含め現有3議席を死守した半面、新たな独自候補の擁立は難航。党勢拡大に向けた道筋は付けられなかった。
国民系会派の「県民フォーラム」では那珂市区で無所属現職が落選し、代表質問が行える会派要件の4人維持は見通せない。ただ、高萩市・北茨城市区では、現職の死去に伴い国民所属の新人が無所属で議席を勝ち取り、今後の連携を探る。
統一地方選が来春に迫る中、県政でどう存在感を示すのか、戦略の練り直しが迫られている。
■1減「力不足」
共産は改選前の2議席から一つ減らし、2010年県議選以来の1議席に後退した。「現有2議席の確保と、取手市区の議席奪還を目標に掲げたが、力不足だった」。県委員会の上野高志委員長は、厳しい結果に悔しさをにじませた。
現職2人は、苦戦を強いられた。水戸市・城里町区は定数6に10人が乱立。つくば市区は東海第2原発をなどを巡る主張が近い地域政党、つくば・市民ネットワークが独自の候補者を立て、票が割れた。陣営は、給食無償化など子育て世代に照準を合わせた選挙戦を繰り広げた。
水戸市・城里町区で議席を確保した半面、つくば市では落とし、取手市区でも自民批判票の受け皿になれなかった。
党は高齢化が進む支持基盤について懸念する。「地力をつけるため党員拡大を図りたい」。上野委員長は地盤固めを誓うが、統一地方選まで残り4カ月と迫っている。