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【いばらきコロナ緩和1年】 (1) 《連載:いばらきコロナ緩和1年》(1)医療現場 警戒続く 予防徹底、厳重装備を維持

防護服を身に着け、入院患者に声をかける看護師の今松聡子さん=水戸市三の丸の水戸赤十字病院
防護服を身に着け、入院患者に声をかける看護師の今松聡子さん=水戸市三の丸の水戸赤十字病院


新型コロナウイルスが5類に移行し、8日で1年を迎える。多くの制限が緩和され、人々の暮らしはどう変わったのか。茨城県内は医療現場で警戒が続く一方で、学生生活や観光誘客など、コロナ禍を経て新たな歩みが進んでいる。


「こんにちは。元気になりましたね」

入院患者の手を握った看護師が、顔を近づけてそっと話しかける。身に着けているのは防護服に医療用マスク、フェースシールド、髪を覆うキャップ、2重のゴム手袋-。その光景には優しさと物々しさが同居する。

水戸赤十字病院(茨城県水戸市)の看護部係長、今松聡子さん(45)は新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年から、感染者病棟で働いている。「5類に移行して1年たっても変わりはない」。医療現場ではコロナ禍と同様、厳重な装備で患者のケアに当たってきた。

同病棟と一般の入院病棟は一部が隣接している。ウイルスが院内に入って既往症のある患者に感染すれば重症化するリスクもある。感染対策を継続し「患者の命を守るため、予防を徹底してきた」。

接触を極力控えるケアの在り方は見直されてきた。不安を抱える患者に寄り添うことのできなかった当時は「もどかしい思いもした」。現在は防護服越しであっても、患者のそばで精神的なケアに力を尽くすことができる。


コロナ禍で忘れられないのは、21年夏の「第5波」だ。全国的にデルタ株が猛威を振るった。重症化する傾向とともに、医療現場は逼迫(ひっぱく)。8月下旬に県内の入院患者は499人に上った。「何が何だか分からない状態。涙を流す若手もいた」

同病院で看護師らは容体のチェックや投薬、たん吸引などに奔走した。防護服の中は蒸し風呂状態。保冷剤を抱えて臨んだが、すぐに溶けてただの重りになった。本来は業者に任せるトイレや風呂の掃除も、感染を広げないため看護師が担った。

感染した患者が亡くなると、未知のウイルスであることも重くのしかかり、「精神的にまいった」。家族が故人を最後にみとることができず、遺骨と対面するしかなかった。

現在、面会はオンラインで可能になった。家族の見送り方も大幅に緩和され、「患者や家族の尊厳を取り戻しつつあることに、ほっとしている」。


コロナ株の変異、治療薬の充実などで重症患者は減少した。同病院の対応病床数はピーク時の85床(コロナ専門病床)から、9床(感染症病床)まで縮小。最近は入院患者数が1~2人の日が多く、病棟内は落ち着いた雰囲気が漂う。

新たな感染症の脅威に備え、同僚らと定期的に勉強会を開いている。日頃から知識を蓄積し、有事の万全な医療体制につなげるためだ。

ストレス発散の場だった音楽ライブは、もう何年も我慢が続く。医療現場に身を置く一人として、自身が感染源にならないよう、私生活でも予防を徹底する。

コロナ対応は終わらない。「これからも覚悟を持って従事する」



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