《連載:ウガンダ支援の現在地》(2) 茨城新聞記者ルポ インフラ追い付かず 整備と技術移転両立
180万人が住む首都、カンパラ。10分で100メートルも進めないほど渋滞した大通りで、車の隙間を2人乗りのバイクタクシーがひっきりなしに擦り抜けていく。バナナの入った籠を頭に載せた女性や、工具や靴を抱えた若い男性が、渋滞で止まった車の窓をたたいて、商品を売り歩く。
■混雑
首都の人口はこの10年で約30万人増えた。道路整備が追い付かず、旅客鉄道がないのも重なって、朝晩の通勤時間帯の車の混雑は深刻さを増す。公共事業省で交通インフラを担当し、国際協力機構(JICA)の支援で筑波大大学院に留学するルターヤ・ローレンス・アーサーさん(28)は「移動に時間がかかる。物流コストが高くなり、生産性が落ちてしまう」と指摘する。
市内の幹線道路の混雑を緩和するため、JICAは2015年、主要交差点の立体交差化と道路拡幅、バイパスの整備を始めた。
同事業のコンサルタント、日本工営(東京)の山崎竜一さんは「ウガンダでは大規模な仕事が少なく、経験を積みにくい」とし「幕末に開国した日本が欧米からさまざまな知識を学んだように、他国の事例に学んでほしい」と、現地での人材養成に意欲を見せた。
■新橋
JICAは同国政府や現地企業と協力し、インフラ整備と技術者の育成に取り組んできた。
同国ジンジャ県で18年に開通したナイル川に架かる巨大な橋「ジンジャブリッジ」は、日本の政府開発援助(ODA)で新設した。新橋のある一帯は、隣国のケニアやコンゴ、ルワンダを結ぶ北部回廊に位置し、アフリカの国々に生活物資や食料などを運ぶ最重要輸送ルートの一つ。新橋の完成で輸送の安定性が高まり、一帯の住民の暮らしを大きく改善させた。
橋のたもとには日本の支援で完成したことを記す碑がある。夜にはライトアップされ、結婚式での撮影にも使われる人気の観光スポットとなっている。
■感謝
橋の維持管理を担うウガンダ道路公社のバルダ・スウィズィズさんは、建設にも技術者として携わった。「日本の安全な技術を、ウガンダ人を代表して教わった。自分たちで橋を100年持たせられるよう、次の世代にしっかり技術を教えていく」と力を込める。
インフラ整備と技術移転を両立する日本の支援に感謝している。「例え話だが、既製品の服をもらうのでなく、その作り方を知りたい」とバルダさん。「その知識を得るまで、誰かにシャツをくださいと物乞いのようにお願いし続けなければならないから」