【息を合わせて 潮来・全中競漕に向けて】 (中) 《連載:息を合わせて 潮来・全中競漕に向けて 茨城》(中) 合同チーム

■「潮来選抜」恩返し誓う
1995年にボート部が発足した茨城県潮来市立潮来一中と、2000年の学校創立の年に誕生した市立日の出中ボート部。合同チーム「潮来選抜」を結成し、7月25~27日に常陸利根川で開かれる第45回全日本中学選手権競漕(きょうそう)大会に臨む。
出場するのは、舵手付きクォドルプル(漕手4人と舵手1人)に男子2クルーと女子1クルー、ダブルスカル(漕手2人)に男子2クルーと女子1クルー、シングルスカル(漕手1人)に男子3クルー。
このうち舵手付きクォドルプルは、これまでの大会実績から男子チームが得意とする種目だ。ボートの舵(かじ)を取る1人とこぎ手4人で千メートルを競う競技で、2015年大会から7連覇するなど計9回の優勝を誇る。
日の出中ボート部主将、高城健人さん(3年)と副主将、長南瑛音さん(同)は「他県の選手と比べると体が小さくこぐ力は劣っているが、皆で力を合わせる技術力の高さがある」と声をそろえる。練習は週4回、最大2~3時間。「練習量は多く、練習後のミーティングを最も大切にしている」とチームワークに自信をのぞかせる。
同種目では、女子も21年大会で優勝し、男女同時に全国制覇を成し遂げた。潮来一中ボート部主将の土子華穂さん(3年)は「千メートルのうち、ラスト200メートルは接戦になる。苦しい時間だが、競り勝った時の達成感とうれしさがボートの魅力」と声を弾ませる。副主将の高田結愛さん(同)も「レースでは1秒未満の差で順位が変わってしまう。難しさもあるが、勝った時の喜びが大きい」と笑顔を見せる。勝負の鍵は5人の意思統一といい、強い結束力で大会に挑む。
過去の好成績の背景にあるのは、地元のスポーツ少年団の存在だ。2008年に市立日の出小の児童を中心に発足した。高城さんと土子さん、高田さんの3人も少年団出身で、一緒に腕を磨いてきた仲間だ。
このほか日の出中では学校行事としてボート体験授業「校内レガッタ」があるといい、市内の子どもたちは早くから水上スポーツに触れる機会が多い。
「中学校と練習場の距離が近く、練習しやすい環境にある」と大会会場について語るのは、日本スポーツ協会スポーツコーチの嶋田稔男さん。常陸利根川の潮来ローイングコースで生徒たちを指導している。大会を控え、「他県の会場と比べると難易度が高く、日頃から練習を重ねている子どもたちのレベルアップにもつながっている」と優位性を強調する。
選手たちによると、今大会の目標は地元への恩返しと優勝だ。大舞台を前に、高城さんは「市民の声が力になるので、大きな声で応援してほしい」、土子さんも「見ている人たちが楽しめるレースをするので応援を」と呼びかける。
大会には全国46チーム215クルーが参加。水上の熱戦まであと1カ月。初めての地元開催の大会へ恩返しと優勝の準備は整った。