【息を合わせて 潮来・全中競漕に向けて】 (下) 《連載:息を合わせて 潮来・全中競漕に向けて 茨城》(下) サポーター

■安全や食、万全の準備
「関東初の大会を盛り上げ、ボートを愛する中学生たちの良い思い出になれば」。茨城県潮来市の常陸利根川で7月25~27日に開かれる第45回全日本中学選手権競漕(きょうそう)大会。運営スタッフや協力者の思いは同じだ。選手たちが競技に集中できるよう準備に万全を期す。
真夏の大会だけに熱中症対策は必須といい、午前11時半~午後3時ごろまで競技を行わない。選手控室にはミスト付きファンを。体調不良や事故に備え、救護所には、医師や看護資格がある保健師を待機させ、救急車も常駐する。
水上には、救助用のエンジン付きゴムボートと警戒船を上流と下流に1隻ずつ。安全な運営へ、水上バイクや一般の船に徐行運転を呼びかける。大会実行委員会の永山由治事務局長は「事故があっては台無し。安全対策を漏れなくやっていきたい」と力を込める。
おもてなしの精神で「食」の準備も進む。
期間中、1日最大800個の弁当を提供する食品スーパーのセイミヤ(同市潮来)。6種類のオリジナル弁当を完成させた。選手用にはしょうが焼きやハンバーグなど肉料理を中心に、監督やスタッフ用には魚や鶏肉などを使ったバランス良いメニューにした。
同社能力開発課の宮崎真理子課長は「子どもたちのエネルギーになるようにライスは大人より50グラム多い250グラムにし、肉料理をメインとした高カロリーな弁当にした。お弁当パワーで好成績につながれば」とエールを送る。
当日は市内2店舗の従業員を中心に、本部などから応援を受けて朝から準備に走る。会場までは保冷車で運び、「こだわりの人気商品ばかりを一つに詰めたオリジナル弁当を味わってもらう」(総菜部の田口明彦バイヤー)。
道の駅いたこ(同市前川)の管理運営会社「いたこ」は、会場にキッチンカーと物販ブースを出す。キッチンカーは、昨年のシン・いばらきメシ総選挙でファイナリストになった「豆乳坦々フォー」を冷製に変えて販売。給前優統括マネジャーは「子どもたちが食べやすい味と辛さになるよう改良を加えた」と話し、1日最大150食を用意する。物販ブースでは、特産マコモを使ったどら焼きやヨーグルト、ジェラートなどを売り出す。
潮来市は、水運陸路の要所や水郷遊覧の観光地として発展してきた。近年は、水郷潮来シティレガッタなどの大会が開かれ「ボート(ローイング)の聖地」として認知されている。原浩道市長は「次世代の選手育成や水上スポーツの振興、地域の活性化につなげていきたい」と期待を込める。
全国中学校ローイング連盟の青木悟会長は「日本を代表する選手を養成する場であり、中学生にとって素晴らしい交流の場・思い出づくりの場となる」と強調。「開催地の魅力を全国に発信することができる大会になる」と成功を願う。