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【昇り龍 水戸J1昇格】 (上) 《連載:昇り龍 水戸J1昇格》(上) 「森サッカー」J2席巻 守備に確固たる「型」

水戸-富山 後半34分、ゴールを決めた水戸・久保(右から3人目)をねぎらう森直樹監督(左から2人目)=7月12日、ケーズデンキスタジアム水戸
水戸-富山 後半34分、ゴールを決めた水戸・久保(右から3人目)をねぎらう森直樹監督(左から2人目)=7月12日、ケーズデンキスタジアム水戸


水戸はクラブ創設31年目の今季、悲願のJ1昇格を遂げた。就任2季目の森直樹監督(現フットボールダイレクター)が掲げた「スピーディーな攻守」でリーグを席巻。20勝10分け8敗、勝ち点70でクラブ史上初のリーグ優勝を飾った。中盤戦には8連勝を含む15試合連続無敗など、クラブ記録を破竹の勢いで塗り替えた。総力戦で頂点に立った激闘のシーズンを振り返る。

2月15日、開幕節。昨季J1の磐田に対し、後半32分までに0-3と後手に回った。だが、森監督に焦る様子はなかった。「1点取ったところが自分たちにとっての開幕。諦めずに常にアグレッシブに動くのはキャンプからやってきた。それを体現してくれた」と終了間際に2得点。結果は敗れたものの、憂いはなかった。1月の沖縄キャンプではG大阪との練習試合で接戦を演じ、鹿島とのプレシーズンマッチは引き分けた。J1の強豪相手にも素早い攻守は通用し、「うまくはまれば爆発する」と確かな手応えをつかんでいた。

森サッカーの肝は守備だ。今季の34失点はリーグ2番目の少なさで、昨季の51失点から激減した。チームは4月12日の第9節札幌戦での勝利を皮切りに15試合連続無敗で首位に立つ。その間、失点数はわずか6で、複数失点はなかった。

全体練習で指揮官が声を張るのは基本的に守備機会のみ。前線からのプレッシャーのかけ方、奪われた後の即時奪回、自ゴール前の守り方-。現役時代はセンターバックとして活躍し、数々の歴代監督の下で守備戦術を学んできた森監督には確固たる「型」があり、選手起用は「まず守れるか」が基準だった。主力陣も控え選手も、前線の選手でさえも「守備で迫力を出せなければ森さんは使ってくれない」と全員が口をそろえた。

攻守の〝分業〟も見事にはまった。攻撃は新任の林雅人コーチが担当。現役時代は主にオランダアマチュアリーグで過ごし、引退後は欧州やアジア各国で指導経験を積んだ攻撃戦術のスペシャリストで、ボール保持者の前進に合わせて味方が追い越す形でゴール前へと侵入する攻撃を指向する。クロスに対し、ゴール前に複数人が駆けていく様子やポジショニングを指の爪に例えた「ネイル」や、前線への起点となる素早い縦パス「スマッシュ」など、独自の用語でチームの共通理解を深めていった。

得点も昨季から16点増の55ゴールと明らかに迫力が増した。森監督は躍進の理由を語る。「各ポジションでシュート傾向を分析し、選手たちも自主練習などで実力を上げてくれた。渡辺新太や斎藤俊輔など、マンパワーで得点できる選手の存在も大きかった」



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