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【昇り龍 水戸J1昇格】 (中) 《連載:昇り龍 水戸J1昇格》(中) 渡辺ら精神的支えに 中堅が番狂わせけん引

水戸-札幌 後半21分、チーム3得点目のゴールを決め喜ぶ水戸・渡辺(右)と大森=4月12日、ケーズデンキスタジアム水戸
水戸-札幌 後半21分、チーム3得点目のゴールを決め喜ぶ水戸・渡辺(右)と大森=4月12日、ケーズデンキスタジアム水戸


直近2年はシーズン終盤まで及ぶ厳しい残留争いを過ごした水戸。下馬評では今季、リーグ優勝など誰も予想していなかった。チーム編成を担ったゼネラルマネジャー=当時=の西村卓朗氏は「(補強の)成功を目指すチャレンジを毎年続ける中で、外れてしまった時に改善、というサイクルを繰り返すことが大事だった。修正しながら進んできた」と語る。

昨季から約半数の選手が入れ替わり、新チームが始動した。例年同様の流れだが、今季は30代前後の中堅選手を多く獲得したことに目を引いた。終わってみれば、FW渡辺新太(30)が日本人最多13得点を挙げ、DF大森渚生(26)が全試合フル出場、飯田貴敬(31)は若手を束ねる精神的支柱として、番狂わせをけん引した。

中でも渡辺はゴール前に構えるだけでなく、7アシストをマーク。チーム総得点の3分の1以上に関わる活躍を示した。中盤での守備強度も「若い選手たちを意識しながらプレーした」。第13節藤枝戦のような豪快なボレーシュートもさることながら、味方のシュートに詰めたり、こぼれ球を押し込んだり、泥くさく走った。

フィールドプレーヤー最年長の飯田は右サイドバックとして37試合に出場。J1清水でプロデビューし、J2京都時代の2021年にはJ1昇格も味わった経験者だ。スピードを生かして同サイド深くまで切り込み、決定的なラストパスを供給するプレースタイルが最大の強みだが、今季は様子が違った。

水戸のような「育成クラブ」では、若手選手の向上心が個人プレーに走る要因となっていた。飯田は「若手がやりたいプレーをして目立ち、上のレベルに行きたいという思いを感じていた。でも、それでは勝てない。チームで勝とうと思ったら、戦い方を選ぶ必要があった。だから僕は加入直後に認知して、自分の役割に徹した。今季は最後まで本当にそれしか考えていなかった」と話す。自らのスタイルを封印し、右サイドに落ち着きどころをつくることで、格段に安定した試合運びができるようになった。

大卒ルーキーの板倉健太(23)やJFLから加入した鷹啄トラビス(24)の台頭も、経験豊富な中堅層の支えなしには実現しなかったかもしれない。



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