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【J1鹿島シーズン回顧 黄金期への序章】 (下) 《連載:J1鹿島シーズン回顧 黄金期への序章》(下) パス技術向上を徹底 鬼木流の戦術、習熟へ

J1優勝を決めシャーレを掲げる鹿島・鬼木監督(手前中央)=6日、メルカリスタジアム
J1優勝を決めシャーレを掲げる鹿島・鬼木監督(手前中央)=6日、メルカリスタジアム


9季ぶりのJ1制覇を成し遂げ、盟主復活への第一歩を踏み出した。真の常勝軍団としてリーグを席巻すべく、チームの次なる目線は〝黄金期〟を築くこと。指揮官の下で目指すスタイルは未完成だからこそ、伸び代や秘める可能性は無限大だ。

チーム始動日の練習で鬼木監督がまず取り組んだのは、ボールを「止める、蹴る」といったパス技術向上の徹底だった。川崎時代に黄金期を築いた地上での鋭いパスワークを鹿島に注入し、「相手を圧倒する」ことを目標に掲げた。

だが、決して順風満帆ではなかった。実際に細かなパスとボール保持で相手を圧倒した試合は少なく、地上でのパス回しに固執した湘南との開幕戦で敗れたことを機に、指揮官は理想を追い求めながらも、結果という現実もしっかりと見つめたチームづくりにかじを切った。

目標がぶれたわけではない。〝勝ちながら成長〟というテーマを掲げ、柔軟な戦い方で勝ち星を積みながら、ボール保持で相手を圧倒する攻撃的なスタイルの精度向上に取り組み続けた。三竿や植田らベテランたちが、自主練でパス技術の向上に毎日取り組み続けた姿こそが、チームの目指す方向性を表していた。

象徴的だったのは、優勝が懸かった横浜Mとの最終節。重圧がのしかかる一戦で、選手たちは今季最高のパフォーマンスを発揮した。根気強く取り組んでいた地上でのパス交換で次々と好機を生み出し、攻守に横浜Mをねじ伏せた。鈴木は「最後の最後で『これだ』と思える試合ができた」と満足げに振り返った。

それでも、鬼木監督は「まだまだ圧倒できるような力は付いていない」、鈴木も「自分たちは完成されたチームではない」と言う。実際に苦しい展開を勝負強さではねのけて得た勝利が多く、結果と内容が伴った試合は決して多くなかった。

だからこそ、「選手たちの伸び代を感じる」と指揮官。未完成のまま頂点まで駆け上がったのだから、鬼木流の戦術をさらに習熟させれば、手の付けられない存在になるに違いない。いざ〝鹿島1強〟時代へ、鬼木アントラーズの目指す景色はまだまだ先にある。



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