《連載:2026衆院選・茨城 課題を追う》(3) 人手不足 建設や運送、深刻さ増す
「工事をこなしていくための人が足りない」。公共事業の土木工事を請け負う高橋建設(行方市繁昌)。高橋修一社長(67)は、業界全体が直面する慢性的な人手不足に頭を悩ませる。
同社や協力会社では従業員の高齢化が進む一方、思うように新卒採用が進まない状況が続く。繁忙期の年度末にかけて労働力は不足。工期を守るために、現場の負担は増すばかりだ。災害時の復旧工事や積雪時の融雪剤散布など「地域の守り手」としての役割もある。それだけに技能士の確保は最重要課題だ。
人材を確保するため同社は給与面のほか、資格取得支援などの福利厚生を充実した。「キャリアアップや成長を感じられる職業」(高橋社長)として業界のイメージ向上につながる取り組みを国に求めている。
他の建設会社の経営者からも悲鳴が上がる。「大手が高卒を採用するようになったあおりで、競争が厳しくなった」「人が足りず仕事を断るようになった」「残業規制の上限ぎりぎりになる時期もある」といった声で、深刻さが増している。
運送業界も状況は同じだ。県トラック協会の小倉邦義会長(72)は「人手が充足している会社はほぼない」と嘆く。高齢ドライバーの引退が加速する「2030年問題」も迫る。
自身が社長を務める茨城流通サービス(古河市)は数年前に運転手不足でトラック台数を減らした。ただ輸送量は増えていて、協力業者でまかなっている。廃業した事業者のドライバーが他業種に流出するのを防ぐためにも、同社はM&A(合併・買収)やグループ化を進めるという。
一方で、4月からドライバーの適切な賃金確保、業界の質の向上などを目的としたトラック適正化2法が施行されるなど、改善への道筋はできつつある。国による運賃の適正原価の告示が28年6月までにあり、運賃が「今より相当上がる」(小倉会長)ことが見込まれる。人手不足解消につながるよう「政策が絵に描いた餅で終わらないよう、しっかり実行してほしい」と望む。
県内企業の多くが頭を悩ませている人手不足。若者を中心とした首都圏への人口流出や、少子高齢化による生産年齢人口の減少を背景に、企業間の人材獲得競争が激しさを増す。
帝国データバンク水戸支店の県内企業調査によると、昨年10月時点で正社員が「不足」と回答したのは52.9%に上った。4年連続の半数超えで、人手不足は高止まり状態が続く。業種別では建設が73.3%と最も深刻で、次いで運輸・倉庫が66.7%、卸売が56.0%、サービスが55.2%、製造が40.5%、小売が36.4%と続く。
同支店は、採用難は構造的な課題で長期化が避けられないといい、「人手不足割合は正社員を中心に高止まりする見通しで、地方経済への影響が懸念される」と指摘する。










