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【いばらき暮らしいま ’25参院選】 (3) 《連載:いばらき暮らしいま ’25参院選》(3) 「値段上がっていないものはない」

食品スーパー店内で商品を見比べる買い物客=水戸市けやき台
食品スーパー店内で商品を見比べる買い物客=水戸市けやき台


■物価高で節約の毎日 賃上げ上昇追いつかず

「1年前と比べて、食費は3万円上がった」

茨城県水戸市内の食品スーパーに買い物に来た50代女性は嘆く。食事療法する家族のため、野菜は欠かせない。少しでも値段が安い店を求めて車を走らせるも、「ガソリンも高いし…」。

野菜売り場で価格を見比べていた60代女性は、家計を見直すため、最近、家計簿をつけ始めたという。「惣菜を買うのを控えて、できるだけ自炊にして、食費を切り詰めている」

セイブ食彩館けやき台店(同市)の羽根石光夫店長は「正直、値段が上がっていないものはない」と話す。メーカーによる価格転嫁や異常気象による不作で、ここ数年、商品の値上げが絶えない。菓子や酒といった嗜好(しこう)品は、買い控えの動きも見られる。

店の電気代や人件費も重くのしかかる。従業員約80人のうち、8割がパートで働くが、最低賃金の引き上げで、人件費は昨年よりも大幅に膨らんだ。

帝国データバンクの調査によると、7月に値上げした食料品は2105品目。前年同月の約5倍に上った。年間の累計だと、2年ぶりに2万品目を超える見込みだ。

長引く物価高騰が家計を圧迫し、年金生活者や子育て世帯を中心に節約に追われている。子を持つ親からは、将来を見据えた政策を国に求める声も聞かれる。

2歳の娘と1歳の息子を育てる同県ひたちなか市、パート従業員、金子亜梨沙さん(30)は「おむつやミルクなど、生活に必要な物の値段が下がってほしい」と訴える。

同県那珂市、主婦、萩野谷圭子さん(32)は、中学3年の娘と1歳の息子の教育費やミルク代などの出費が大きく、自身の美容室代を削るなどして調整している。「子どもたちが大きくなった時に、暮らしやすい世の中になっていてほしい」と願う。

物価高に賃金が追いつかない状況が続く。

総務省が発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)は、前年同月比3.7%上昇となった。伸び率は前月から0.2ポイント拡大し、23年1月以来の高水準を記録した。

2024年度の名目賃金(現金給与総額)は、前年比2.9%と高い伸びだったが、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は同0.2%減で、3年連続マイナスとなった。

物価高対策は参院選の主要な争点に挙がっている。与野党は公約や主張で現金給付や消費税減税を打ち出し、論戦を展開する。

経済政策に詳しい茨城大の後藤玲子教授は「生活に直結する食品やエネルギー高への対策を、どう考えているかがポイント」と指摘。特にエネルギー価格を抑えることについて「供給面で生産能力を高める効果がある」と強調する。

後藤教授は「消費減税は直接かつ短期間で効果が期待される」と説明しつつも、「消費減税以外を見ると、結果的に増税となる場合もある。各党の政策を多面的に見る必要がある」とした。



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