次の記事:つくばの山林に遺体 行方不明の女性 茨城 

《連載:2026衆院選・茨城 課題を追う》(4) 原発再稼働 議論の前提条件見通せず

スクリーニング検査の訓練で、サーベイメーターを使って放射性物質による汚染箇所がないか調べる検査担当者=2025年11月20日、笠間市長兎路
スクリーニング検査の訓練で、サーベイメーターを使って放射性物質による汚染箇所がないか調べる検査担当者=2025年11月20日、笠間市長兎路


「現時点での状況を踏まえると、非常に厳しい」

1月上旬、茨城県水戸市内のホテル。再稼働の前提となる東海第2原発(同県東海村)の安全対策工事の完了時期を巡り、日本原子力発電(原電)の村松衛社長は険しい表情で延期の可能性に言及した。

直前に原子力関係者と新春を祝う賀詞交歓会が開かれ、笑顔であいさつしていた表情とは対照的だった。

今年12月が完了予定だったが、施工不良があった防潮堤の基礎部分の構造を見直し、原子力規制委員会の審査が続いていることを理由とした。

完了時期について、村松社長は「まずは審査に全力を尽くす」と述べるにとどめた。新たな工程は審査の進展を見て示すとした。

国は昨年2月、「エネルギー基本計画」を改定した。2011年の東京電力福島第1原発事故の反省から明記された「可能な限り原発依存度を低減する」との表記が消えた。

変わって原発を最大限活用する方針を示し、同じ原発の敷地内に限り認めてきた建て替え要件も緩め、同じ電力会社であれば別原発の立地場所で建設できるようにするとした。

改定前後から再稼働が相次いだ。特に東日本に多く立地し、福島原発と同じ沸騰水型が目立つ。24年末から25年にかけて東北電力女川2号機(宮城県)、中国電力島根2号機(島根県)が再稼働し、営業運転を再開した。

さらに今年1月21日には、東電柏崎刈羽6号機(新潟県)が約13年10カ月ぶりに再稼働。東電の原発再稼働は福島事故後初だったが、制御棒のトラブルが発生。原因調査のため、東電は同23日に原子炉を止めた。

一方、東海第2を巡る再稼働の議論は低調だ。

重大事故に備えた広域避難計画は、策定義務のある茨城県内14市町村のうち9自治体で完成したが、人口が多い水戸、ひたちなか両市など、残る自治体の完成時期は見通せない。

大きな要因の一つが避難所の確保。約7万2000人分が不足し、県は県外の避難先自治体との協議を進める。大井川和彦知事は昨年6月の記者会見で、避難所確保まで「数年」との認識を示している。

同計画の実効性を確認するため県が設置した有識者の検証委員会では、避難情報をはじめとした住民への情報伝達や避難時間の短縮策など計5項目の検証作業が続いている。

それでも県は昨年11月、東海第2を含めた原子力災害に備え、バスによる避難住民の緊急輸送に関する協定を県バス協会と締結。同月には避難する住民や車両に放射性物質による汚染がないか調べる避難退域時検査(スクリーニング)の訓練も行い、検査手順や除染作業の流れを確認した。

県原子力安全対策課の担当者は「課題は多いが、一つ一つ対処するしかない」と強調する。

再稼働を議論するための「前提条件」が整う時期は見通せない。



茨城の求人情報

https://cpt.geniee.jp/hb/v1/207318/39/instbody.min.js"