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茨城東・島田倭吉 家族、仲間の支え力に 難病乗り越えプレー

茨城東-那珂 9回表茨城東無死走者なし、気合を込めながらバットを構える島田=ノーブルホーム水戸、鹿嶋栄寿撮影
茨城東-那珂 9回表茨城東無死走者なし、気合を込めながらバットを構える島田=ノーブルホーム水戸、鹿嶋栄寿撮影


2020年夏季茨城県高校野球大会第2日、12日のノーブルホーム水戸第1試合。「意地を見せてこい」「頼むぞ」。九回表、3点差を追う茨城東の島田倭吉(かずよし)(3年)はベンチの仲間の声に笑顔でうなずき、打席に向かった。初球を振り抜き、ライナー性の当たりは遊撃手のグラブに吸い込まれた。後続も倒れ、高校生活最後の打席となった。

体に異変が起きたのは高校1年の秋。腹痛が続き、診断されたのは「好酸球性胃腸炎」。患者は国内で、成人で数百人、小児で100人余りの難病だった。

入退院を繰り返し、通院の日々が続いた。運動はままならず、部活動は参加できなかった。食事は喉を通らず、体重は半年で10キロほど落ちた。

治療で症状は快方に向かった。2年の春、チームへの復帰を果たした。「趣味は野球」ときっぱり。「つらかったが、諦めたくなかった。野球が好きだから」

闘病を支えた両親はこの日、スタンドで見守った。父幸人さん(54)は「こうして球場で活躍する姿が見られて本当にうれしい」と声を震わせた。

チームの枠を越えた仲間の支えもあった。部員不足で、昨秋は玉造工と合同チームで出場し、練習を共にした。試合前日には、玉造工の仲間から「絶対勝てよ」とLINE(ライン)でメッセージが届いた。勝利できず悔しがりながらも、「今の自分があるのは仲間のおかげでもある」。

試合後、南形和明監督(41)は「島田は全力プレーが持ち味。よく頑張ってくれた」と成長に目を細めた。

卒業後はプロ野球独立リーグ・茨城アストロプラネッツへの入団を志望している。これまでの感謝の思いを胸に、これからも全力疾走で白球を追う。

「2020年夏季茨城県高校野球大会」で球音を響かせる球児たちを追った。(随時掲載)

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