病と闘う、麻生・稲田純也 思い貫き全力投球 エース躍動、勝利導く
11日のジェイコム土浦第3試合で、麻生のエース・稲田純也投手(3年)が土浦三打線に対し躍動し、チームを勝利に導いた。甲状腺の疾患で体が疲れやすくなったりするバセドー病を患っている姿を全く感じさせない107球だった。
持ち味は左横手から繰り出す緩急を付けた投球だ。この日は丁寧にコーナーを突いた。飛田遼太朗監督(27)も「よく我慢した。ここまでいいピッチングをしてくれるとは思っていなかった」と目を細めた。
八回までは無失点。終盤は足がつった状態で戦い、九回は力尽き3点を失い、マウンドを譲ったが、勝利にたどり着き、「ここまで成長できるとは思わなかった」と笑顔で振り返った。
体に異変が起こったのは昨夏だった。「体重が減り始め、思うような練習ができなくなった」。60キロだった体重は徐々に減り、12月に入ると48キロまで減った。少しの運動でも息切れするほどになり、マウンドから投げるボールは捕手まで届かなくなった。
12月中旬、バセドー病と診断された。「野球をやっていていいのか」と落ち込んだという。だが、両親に「最後まで頑張ろう」と励まされ、飛田監督からは「稲田がエースだ」と伝えられた。周囲の支えを受けながら、高校野球を続けることを決断した。
毎日、薬を服用して治療に励んだ。徐々に体調は改善した。1月までは週2度だった通院も、現在は3カ月に1度。3月には野球ができるほどになった。
新型コロナウイルスの影響で部活動が休止となっても、他の球児に追い付こうと、近所の公園で走り込んだ。体重は65キロまで増えた。「病気の前よりも球が速くなった」。
1勝だけで満足はできない。次戦は強豪・石岡一と戦う。「石岡一は自分たちより強い」と警戒しているが、「(1回戦が)自信になった。反省を踏まえながら、自分の体を考えてしっかり調整し、捕手と協力してしっかり投げたい」と全力投球を誓った。(随時掲載)