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審判生活20年の稲見忠さん 最後の夏、周囲に感謝 闘病乗り越え恩返し

夏の高校野球の審判生活に終わりを告げた稲見忠さん=ジェイコム土浦
夏の高校野球の審判生活に終わりを告げた稲見忠さん=ジェイコム土浦


2020年夏季茨城県高校野球大会、24日のジェイコム土浦第3試合。江戸川学園の遊撃手がゴロを捕球し、そのまま二塁を踏んでゲームセット。一塁塁審の稲見忠さん(59)にとっては、同時に約20年にわたって続けてきた、高校野球審判生活の最後の夏が終わった瞬間でもあった。

小学校時代から野球を始め、大野久氏(元阪神)らと同級生だった取手二高時代には、三塁手として甲子園にも出場した。大学卒業後は取手市役所に入庁し、市役所の野球チームでも全国大会へ出場するなど活躍した。

審判として活動を始めたのは30歳のころ。当時所属していた市教委生涯学習課の先輩から「いつまでも選手はできない。審判として、これまでお世話になった野球界に恩返しをする。それこそ生涯学習だ」と諭されたことがきっかけだった。県軟式野球連盟に所属し、審判の活動を始めた。

毎年、球児たちを見守った。そんな審判生活に、暗雲が立ち込めたことがあった。2016年2月、朝起きると右半身にしびれを感じた。脳梗塞だった。幸い後遺症は残らなかったものの、その年は審判の活動を休止。翌年復帰したが、体への負担が大きい球審以外を担当することになった。

本年度、還暦60歳を迎え、規定により夏の高校野球の審判は最後。審判をするのはこの日が今大会最初で最後だった。「(コロナウイルスで)大会自体が、なくなるかもしれなかった。グラウンドに立てて良かった」と喜んだ。これまでを振り返り「高校野球は平日も試合がある。職場の理解がなければ続けてこられなかった」と周囲のサポートに感謝した。

高校野球の審判としては一区切りだが、今後も社会人や小学生の大会には参加する予定。「健康に気を付けて、できる限り長く野球と関わっていきたい」と笑った。 



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